衛星通信とは?スマホのダイレクト通信で実現できることもわかりやすく解説

衛星通信には、専用端末を利用する方式や、スマホと直接通信する方式があります。
現在、各携帯電話会社では、通信エリア拡大などを目指し、スマホと直接通信する「衛星ダイレクト通信」の取り組みが進められています。
今回は、衛星通信の概要やメリット・デメリット、スマホの衛星ダイレクト通信で実現できることなどを解説します。
衛星通信とは

衛星通信とは、地上と人工衛星の間でデータをやり取りする通信方式です。地上の無線局から送信されたデータは、低軌道・中軌道を周回する衛星や静止軌道上に配置された衛星が受信し、地上の目的地に送信されます。
通信衛星の軌道には、主に「周回軌道」と「静止軌道」の2種類があり、それぞれ特長があります。
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軌道の種類 |
周回軌道 |
静止軌道 |
|---|---|---|
|
軌道タイプ |
中軌道(MEO) |
静止軌道(GEO) |
|
高度 |
中軌道(MEO):約2,000~3万6,000km |
約3万6,000km |
|
人工衛星1機における通信可能範囲 |
狭い |
広い |
また、衛星通信には、専用端末を利用する方式とスマホが直接衛星と通信する衛星ダイレクト通信があります。
たとえば、2024年に発生した能登半島地震では、基地局が停電で機能しなくなった地域の避難所や救急医療の現場に、衛星通信サービス「Starlink」の専用端末が提供されました。これにより通信環境が確保され、インターネット回線が利用可能となりました。
スマホの衛星ダイレクト通信は、通信エリアの拡大や災害時の通信手段確保を目的に、各携帯電話会社で取り組みが進められています。2025年6月時点で、一部の携帯電話会社から商用サービスの提供が始まっています※。
※楽天の国内向け商用サービスでは、AST SpaceMobileの軌道高度約700kmを周回する商用衛星「BlueBird Block 2」を中心に活用予定です。試験衛星「BlueWalker 3」と商用衛星「BlueBird Block 1」については、高度約500kmを周回します。
衛星通信の周波数帯の種類
衛星通信では、用途や特性に応じて複数の周波数帯(バンド)が使われており、通信容量や耐環境性などが異なります。
日本国内では、Lバンド、Sバンド、Cバンド、Kuバンド、Kaバンドなどが一般的に利用されています。
|
衛星通信の周波数表示 |
周波数帯 |
|---|---|
|
Lバンド |
1.215~1.71GHz |
|
Sバンド |
1.71~2.7GHz |
|
Cバンド |
3.4~7.075GHz |
|
Kuバンド |
10.6~15.7GHz |
|
Kaバンド |
17.3~31GHz |
LバンドやSバンドは、CバンドやKuバンド、Kaバンドといった高周波帯と比べて通信容量は少ないものの、雨や雨雲の影響を受けにくいという特長があります。
たとえば、衛星携帯などの小型端末では、LバンドやSバンドが主に利用されます。衛星携帯とは、地上の基地局を経由せず、衛星を通じて直接通信を行う携帯電話です。一方、Cバンド以上の高周波帯を利用する通信では、パラボラや平面型のアンテナが必要となります。
衛星通信の端末の種類
日本国内で利用されている衛星通信端末の種類は、主に「パラボラ・平面アンテナ型端末」と「携帯電話型端末」の2つです。
パラボラ・平面アンテナ型端末は、アンテナを固定して設置します。通信容量が多く、特定の方向に電波を集中させる「アンテナ指向性」が強いため、通信の安定性に優れています。
一方、携帯電話型端末は、通信容量やアンテナの指向性は劣りますが、小型で持ち運びやすいという利点があります。
衛星通信のメリット・デメリット
衛星通信には、以下のような特徴があります。
|
メリット |
・地上通信網が整備されていない場所(山奥、離島、海上など)でも利用可能 |
|---|---|
|
デメリット |
・衛星との距離により通信遅延が発生することがある |
衛星通信を利用すれば、山奥や離島、海上など、地上通信網がない場所でもインターネット接続が可能です。災害時には被災地などに衛星用基地局を設置することで、迅速な情報伝達の手段を応急復旧できます。
一方で、地上と人工衛星の距離が遠い静止軌道(GEO)衛星は遅延が発生するため、リアルタイム性が要求される用途には不向きといわれています。これに対して、低軌道(LEO)衛星は、比較的遅延が小さいです。
また、KuバンドやKaバンドのような高周波数帯は雨の影響を受けやすく、通信が途切れることがあります。反対に、LバンドやSバンドは雨に強く、より安定した通信が可能です。
スマホの衛星ダイレクト通信で実現できること

前述のとおり、各携帯電話会社では、専用端末を介した衛星通信だけでなく、スマホと衛星のダイレクト通信により通信エリア拡大などを目指す取り組みが進められています。
以下では、スマホの衛星ダイレクト通信で実現できることを紹介します。
・通信エリアが広がる
・災害時にも安定した通信が提供可能
通信エリアが広がる
スマホの衛星ダイレクト通信により、通信エリアの拡大が期待されています。
現在、日本の携帯電話サービスは、人口カバー率が約99%に達している一方で、面積カバー率は日本全土の約70%にとどまっています。
人口カバー率とは、全国の人口のうち携帯電話のサービスエリア内に居住する人の割合を指します。一方、面積カバー率は、日本の国土面積のうち、通信が届く範囲の割合を指します。
スマホの衛星ダイレクト通信が可能になれば、基地局の電波が届かない山奥や離島、海上など、従来は圏外だったエリアでも、専用端末なしでスマホを利用できるようになる可能性があります。
たとえば、登山時に山奥で遭難時の連絡手段として役立ちます。これにより、迅速に救助要請を行えるようになるでしょう。
各携帯電話会社は、衛星ダイレクト通信の実用化などを進め、日本全土をカバーできる通信インフラの構築を目指しています。
災害時にも安定した通信が提供可能
スマホの衛星ダイレクト通信が実用化されれば、災害時にも従来より安定した通信が可能になると考えられています。
従来のモバイルデータ通信や光回線は、基地局や光ファイバケーブルが被災することで、通信が途絶えるケースが多くありました。
しかし、衛星ダイレクト通信であれば、近隣に基地局がなくても通信できるため、普段使っているスマホを非常時の連絡手段として活用できます。
スマホの衛星ダイレクト通信を活用した楽天モバイルの取り組み
楽天モバイルは、米国のAST SpaceMobileとのプロジェクトを推進しており、日本国内で2026年第4四半期のサービス提供開始を目指しています。
「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」は、低軌道衛星と市販されているスマホによる直接"高速インターネット通信"(音声・ビデオ通話など)を目指すプロジェクトです。
2023年4月には、低軌道衛星によるモバイル・ブロードバンド通信を用いた、市販スマホ同士の音声通話試験に世界で初めて成功しました※1。
さらに2025年4月には、低軌道衛星と市販スマホ同士のビデオ通話にも、日本国内で初めて成功しています※2。
この取り組みは、モバイル通信の広域エリアカバーや災害時の通信インフラの冗長性強化に向けた第一歩となりました。
※1宇宙から送信するモバイル・ブロードバンド・ネットワークと市販スマートフォン端末との通信において(2023年4月26日時点、AST SpaceMobile調べ)。
※2宇宙から送信するモバイル・ブロードバンド・ネットワークと市販スマートフォン端末との通信において(2025年4月時点、AST SpaceMobile調べ)。
衛星ダイレクト通信によりスマホの通信エリアは広がる可能性がある
衛星通信では、地上と人工衛星間でデータのやり取りができ、基地局からの電波が届かない場所でもインターネットに接続できます。
今回紹介したスマホの衛星ダイレクト通信が実用化すれば、光回線が接続できない場所や携帯電話会社の基地局では電波が届かない山奥や離島、海上などでも専用端末なしでスマホで通信できるようになるでしょう。
近い将来、通信エリアが広がることでスマホの利用がより快適になりそうですね。スマホを快適に使うにあたって、通信エリアと同じぐらい重要なのがデータ容量です。いますぐスマホをより快適に使いたいなら、自分にあったデータ容量の料金プランに変更することも選択肢のひとつです。
楽天モバイルの料金プランでは、データ利用量に合わせて料金が自動的に変わるため、たくさん使う人にもあまり使わない人にもおすすめの料金プランです。
家族割引適用※1で、3GBまでは880円/月(税込968円)、20GB超過後はどれだけ使っても2,880円/月(税込3,168円)とデータ使い放題※2なので、データ容量を心配せず快適な通信をご体験いただけます。
※通話料等別
※1 割引・プログラム適用条件あり。詳細はこちらをご確認ください。
※2 混雑時など公平なサービス提供の為に速度制御する場合あり
ぜひ楽天モバイルをご検討ください。
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※1 楽天モバイル「楽天モバイル通信簿2025Ver/データ収集期間2024年12月16日~12月23日」
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