トラッキングとは?設定変更の方法や許可するリスクをわかりやすく解説

トラッキングとは?設定変更の方法や許可するリスクをわかりやすく解説
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2025.12.10

トラッキングは、Web上でのユーザーの行動履歴を収集・分析するものです。

トラッキングを許可すると、興味・関心のある商品やコンテンツが表示されるようになりますが、個人情報流出などのリスクも存在します。
今回は、トラッキングとはなにか、メリット・デメリット、設定変更の方法、トラッキングのリスクを抑える対策などを解説します。

目次

トラッキングとは

Webサイトやアプリを開いたときに、「トラッキングすることを許可しますか」といった内容のポップアップが画面に表示されることがあります。

トラッキングとは、Webサイトやアプリがユーザーの行動を追跡して行動履歴を収集・分析する仕組みのことです。

具体的には、以下の項目などが主なトラッキングの収集対象となります。

  • ユーザーが閲覧したページ
  • 滞在時間
  • クリックした広告
  • 入力した検索キーワード
  • ログインの有無や利用状況

収集されたデータは、たとえば以下のようなところに活用されます。

  • ユーザーにあわせた広告やコンテンツの表示
  • ユーザーの操作性や体験(UI/UX)の改善
  • 広告効果の測定(実際に購入に結びついたかなど)

上記のように、ユーザーにあわせた広告の表示やWebサービスの改善など、トラッキングのデータは幅広く利用されています。

トラッキングの種類と仕組み

トラッキングの種類としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookie
  • 広告識別子(広告ID)
  • ブラウザフィンガープリント
  • アプリトラッキング
  • Sensor ID

ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookie

Cookieとは、Webサイトを訪問した際に、閲覧しているユーザーのログイン状態やサイトの設定、閲覧状況などの情報を保存するための小さなテキストファイルです。ユーザー本人のスマホやパソコンのWebブラウザに保存されます。

Cookieには、主に以下の2種類があります。

  • ファーストパーティーCookie
  • サードパーティーCookie

ファーストパーティーCookieは、ユーザーがアクセスしたWebサイトが発行するCookieです。

たとえば、サイト運営者が発行するCookieがユーザー本人のブラウザに保存され、ECサイトのお買い物カートの情報やログイン情報などが保持されます。これにより、ページを離れて再訪問する際も、カートの中身やログイン状態が維持されます。

一方、たとえば、特定の商品を調べた後にほかのWebサイトでその商品の広告が表示されるのは、サードパーティーCookieによるものです。

Cookieについての詳細はこちらをご確認ください。

広告識別子(広告ID)

広告識別子(広告ID)とは、スマホやタブレットなどのアプリ内で利用される一意の識別子です。アプリ間をまたいでユーザー行動を追跡し、広告ターゲティングや効果測定に利用されます。

代表的な広告識別子としては、iOSでは「IDFA」、Android™では「AAID」が用いられています。近年は、iOSやAndroidで提供される以下の機能により、ユーザー自身が追跡をコントロールできる仕組みが増え、プライバシー保護の動きは一段と強まっています。

  • App Tracking Transparency(アプリが行動を追跡する際に許可を必須にする仕組み)
  • Androidで提供されている広告IDのリセット・削除機能

ブラウザフィンガープリント

ブラウザフィンガープリントは、以下のような情報を組み合わせてユーザーを識別しようとする技術です。

  • ブラウザ
  • OS
  • フォント
  • 画面解像度
  • IPアドレス
  • アクセス履歴や訪問したWebサイトの情報
  • 言語・タイムゾーン

Cookieが制限される環境下でも、ユーザーの識別やトラッキングを可能にする代替手段として活用されています。ただし、あくまで確率的な手法であるため、Cookieと比較すると、ブラウザや端末の設定・利用状況によって精度が下がることがあります。

アプリトラッキング

アプリトラッキングとは、スマホアプリがユーザーから許可を得て、位置情報や連絡先、ほかのアプリの利用状況などのデータを収集する仕組みのことです。

アプリの利用状況や行動パターンを把握し、広告配信の最適化やアプリの機能改善に活用されます。アプリトラッキングは、ユーザーが同意することを前提としています。

Sensor ID

Sensor IDは、スマホに搭載されたジャイロスコープ、加速度計、磁力センサーなどで取得したデータを分析し、端末を識別したり行動を推測する新たなトラッキング技術のひとつです。

スマホに内蔵された各種センサーは、製造時の微細なばらつきにより、測定値にわずかな誤差が生じます。Sensor IDは、こうしたセンサーの個体ごとの特性を分析し、端末を識別する仕組みです。

Cookieや広告IDといった従来の手法と比較すると、ユーザーが無効化しにくいため、長期的な追跡が可能です。

トラッキングを許可するとどうなる?

トラッキングを許可すると、ユーザーの行動データに基づいて最適化されたコンテンツや広告が表示されるようになります。

たとえば、日頃から旅行関連のWebサイトを閲覧していたり、航空券予約アプリを利用していたりすると、旅行や宿泊施設の広告やコンテンツが表示されやすくなります。

一方でトラッキングを許可しない場合は行動履歴が反映されず、利用者の関心とあまり関係のない広告が多く表示される可能性があります。ただし、トラッキングを許可しないことで、情報が取得されることによるプライバシー侵害のリスクは軽減されるでしょう。

トラッキングのメリット

トラッキングのメリットについて、ユーザー側、企業側のそれぞれの視点で見ていきましょう。

ユーザー側のメリット

ユーザーは、Cookieなどの仕組みによって、Webサイトへのログイン時にIDやパスワードを入力せずにログインできることがあります。

また、トラッキングによって、興味・関心のあるコンテンツや広告が表示されるようになります。

何気なくWebサイトを閲覧しているときにも、自分の興味のあるジャンルの情報を目にしやすくなり、オンラインショッピングなどで興味のある商品が見付けやすくなることもあるでしょう。

企業側のメリット

企業は、トラッキングで収集したユーザーの行動データをマーケティング戦略へ活用できます。たとえば、コンバージョン(商品の購入など)につながったユーザー行動の把握や、ユーザーが離脱したWebページの改善などに利用されます。

また、トラッキングによりユーザーの興味・関心にあわせた広告表示が可能となります。年齢や居住エリア、趣味嗜好などに基づく効果的な広告表示によって、コンバージョン率の改善につなげることができます。

トラッキングのデメリット

トラッキングのデメリットも、ユーザー側、企業側のそれぞれについて紹介します。

ユーザー側のデメリット

自分では気付かないところでデータを収集・分析されることがあります。

たとえば、トラッキングを許可すると利用者の行動データが収集され、外部のサーバーや広告ネットワークに送信される場合があります。

通常はセキュリティ対策が施されていますが、サイト側の通信が暗号化されていない場合や、ユーザーが安全性の低いWi-Fi®やブラウザ拡張機能を利用している場合などには、Webサイトやアプリで通信中の利用者を識別するセッションIDが不正に取得されるリスクも考えられるでしょう。

セッションIDが不正に取得され、Webサイト上でのセッション(アクセスから離脱までの一連の通信)が乗っ取られると、個人情報の漏洩やクレジットカードの不正利用などの被害につながることもあります。

また、トラッキングを許可すると、収集・分析されたデータに基づき、関連性が高いと判断された広告が表示されるようになります。場合によっては、不要な広告が表示されたり、同じ広告が繰り返し表示されたりする可能性もあるでしょう。

企業側のデメリット

トラッキングによって収集したデータは流出するリスクがあります。ユーザーの個人情報が流出すれば、企業イメージの低下にもつながるため、トラッキングの導入にあたって十分なセキュリティ対策を講じておくことが必要です。

2022年施行の改正個人情報保護法では、Cookieや広告IDなどは個人を識別できない「個人関連情報」に位置づけられています。個人関連情報は、それ単体では個人を特定できないため、従来の「個人情報」とは区別されています。

しかし、これらの個人関連情報を会員登録情報などと組み合わせて個人を特定できる「個人データ」として取得・利用する場合は、法律上は個人情報と同様に扱われます。

つまり、企業がCookieなどの個人関連情報を、会員情報などと組み合わせて「誰のデータか」を特定できる形で利用する場合には、ユーザー本人の同意を得る必要があります。規制に違反すると、罰金などの対象となる可能性もあります。

また、データの収集・分析によって同じ広告を繰り返し表示することで、かえって企業イメージが低下する可能性も考えられるでしょう。

トラッキングは制限や拒否ができる|設定変更の方法は?

Webサイト訪問時などにトラッキングの許可についてポップアップが表示されることがあり、ユーザー自身がトラッキングを拒否することも可能です。

また、スマホ本体やWebブラウザの設定でトラッキングを制限することもできます。iPhone、Androidについて、トラッキングを制限する設定を以下で見ていきましょう。

iPhoneの場合

iPhoneでは、以下の手順でアプリのトラッキングの許可を設定できます。

1.「設定」アプリ>「プライバシーとセキュリティ」>「トラッキング」をタップする

2.「アプリからのトラッキング要求を許可」のオン/オフを設定する

オンにすると、アプリが他社アプリやWebサイトをまたいでトラッキングの許可を要求できるようになります。オフにすると、すべての新しいアプリからのトラッキング要求が拒否されます。

また、「アプリからのトラッキング要求を許可」をオンにしている場合、個別のアプリのトラッキングについてもオン/オフを設定できます。上記の「トラッキング」の画面を下にスクロールすると、以下のような設定画面があります。

Android™の場合

Androidではトラッキングを一括で拒否する機能はありませんが、たとえばGoogle Chromeの設定で、サードパーティのCookieの許可/ブロックを選択できます。

1.「Google Chrome」アプリで右上の「︙」をタップする

2.「設定」>「サイトの設定」>「サードパーティCookie」をタップする

3.「サードパーティのCookieを許可する」または「サードパーティのCookieをブロックする」をタップして選択する

トラッキングの規制強化の流れについて

トラッキング技術の発展により、ユーザーの行動データを詳細に把握できるようになった一方で、プライバシー保護の観点から懸念の声も上がっています。

こうした背景を受けて、各種ブラウザではサードパーティーCookieへの規制強化が進んできました。たとえば、AppleのSafariは2020年にサードパーティーCookieをデフォルトで完全にブロックする仕様にしています。

Google Chromeでは、サードパーティーCookieを段階的に廃止する方針が示されていましたが、2025年4月にサードパーティーCookie専用の同意プロンプト(許可を求める画面)を実装しないことが表明され、事実上廃止計画は先送りされました。

トラッキングのリスクを抑える対策は?

OSやブラウザの設定、OSの更新、セキュリティ対策ソフトなどでトラッキングへの対策が可能です。トラッキングのリスクを抑える対策を以下で見ていきましょう。

OSやブラウザの設定でトラッキングを制限する

OSやブラウザの設定でトラッキングを制限できます。必要に応じてトラッキングを一部制限するなど、管理しましょう。

iPhoneでは、「設定」アプリ>「プライバシーとセキュリティ」>「トラッキング」から、アプリごと、または一括でトラッキングの許可を設定できます。

また、AndroidのGoogle Chromeでは、右上の「︙」>「設定」>「サイトの設定」>「サードパーティCookie」から、サードパーティCookieの許可やブロックの設定ができます。

OSバージョンを最新に保つ

OSバージョンを最新に保つことで、セキュリティリスクが抑えられます。

iPhoneのiOSをアップデートする手順は、次のとおりです。

1.「設定」アプリ>「一般」>「ソフトウェアアップデート」をタップする

2.更新できる最新バージョンがあれば、画面の案内に従ってアップデートを実行する(「今すぐインストール」または「ダウンロードしてインストール」をタップして操作する)

AndroidのOSをアップデートする手順は、次のとおりです。

1.「設定」アプリ>「システム」>「ソフトウェアアップデート」をタップする

2.更新できる最新バージョンがあれば、画面の案内に従ってアップデートを実行する

セキュリティ対策のソフトやサービスを利用する

セキュリティ対策のソフトやサービスを導入することで、不要なトラッキングや不審なアクセスを検知・遮断し、情報流出などのリスクを軽減できます。

また、セキュリティ対策ソフトなどはトラッキング対策だけでなく、マルウェアと呼ばれる不正なプログラムから端末を守る役割も果たします。

マルウェアには、情報を盗むスパイウェアや身代金要求に使われるランサムウェアなど、さまざまな種類があり、金銭的な被害につながる可能性があるため対策が重要です。

トラッキングを理解して安全にWebやアプリを使おう

トラッキングは、Webサイトなどがユーザーの行動データを収集・分析する仕組みで、最適な広告・コンテンツを表示するなど、ユーザーにとってメリットになる場合があります。

一方で、トラッキングは個人情報の流出につながる可能性もあり、適切な管理と対策が求められます。対策のひとつとして、スマホを最新OSにアップデートして利用することが重要です。

特にスマホが古くなっていて、「最新OSに対応していない」「近々対応が終了する可能性がある」といった場合は、買い替えも検討しましょう。スマホを買い替えるなら併せて携帯電話会社を見直すと、最適なプランが見つかる可能性があります。

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