eSIMとは?メリットやデメリット、おすすめの人や使い方を紹介
eSIMとはスマホ内蔵型のSIMで、ICチップにオンライン経由でデータを書き込むことで携帯電話会社の通信サービスを利用できます。
通常のSIMカードとは仕組みが異なるので、eSIMを利用したい方は使い方を知っておきましょう。
今回は、eSIMの使い方や、メリット・デメリットなどを解説します。
eSIMとは本体一体型のSIM
eSIMはスマホの内部にSIMのICチップが内蔵された、スマホと一体になっているSIMのことです。カード型の物理SIM(SIMカード)と同様に、契約者情報や回線情報をICチップに書き込むことでSIMとして機能します。
eSIMの情報は契約者ご自身の操作によってオンラインで書き換えができるので、乗り換えや開通の手続きも簡単に行えるのが特長です。
携帯電話会社の乗り換えを円滑化し、eSIMの国際的な普及を受けて、総務省も普及を推進しています。
eSIMとSIMカードの違い
eSIMとSIMカードは、スマホの利用に必要な情報を書き込む役割は同じです。
ただし、SIMカードは物理的なSIMであり、携帯電話会社を変更する場合などはカードごと変更しなければなりません。
eSIMはデータを書き換えるだけで携帯電話会社を変更できるので、乗り換えの際の手続きなどを簡単に進められます。
また、eSIMとSIMカードは同時に利用可能です。
eSIMの5つのメリット
eSIMは、契約から開通までのすべての手続きがオンラインで完結できることが特長です。データを読み込むことで内蔵ICチップにSIM情報を書き込むeSIMならではのメリットを見てみましょう。
オンラインで契約から開通まで短時間で完結する
eSIMは物理的なSIMカードと異なり、回線の開通のためにSIMカードの到着を待つ必要がありません。現在利用しているスマホがeSIMに対応していれば、店舗に行かなくても、携帯電話会社の乗り換えや新規契約の手続きから開通まですべてオンラインで完結できます。
店舗に足を運ぶのが難しい方や、忙しくて手続きの時間が取りにくい方、急いで乗り換えたい方でも、手軽に乗り換えができます。
オンライン経由で可能な本人認証と組み合わせることで、短時間で開通できるのもeSIMの特長です。
SIMカードの差し替えが不要で故障リスクも少ない
物理SIMの場合、SIMカードのICチップ部分に指が触れてしまったり、水で濡れてしまったりすると、汚れや錆によって接触不良を起こすことがあります。
接触不良以外にも、現在利用されているnanoSIMカードはとても小さく、SIMカードトレイに挿入する際に、紛失や破損のリスクもあります。
しかし、eSIMであれば、内蔵ICチップにSIM情報を書き込むため、紛失や破損のリスクはありません。
1台のスマホで複数のネットワークが利用できる
SIMカードには契約者情報(識別番号や電話番号など)が登録されます。複数の契約者情報を端末にダウンロードしておいて、eSIMに都度書き換えて利用するイメージです。
APN設定はインターネットの「接続先情報」を設定することで、通常の物理SIMカードを使うスマホでも複数登録しておくことができます。
APNとは、「Access Point Name」(アクセスポイントの名前)の略語です。スマホなどデータ通信を行う端末にAPNを設定すると、インターネットに接続が可能になります。
物理SIMは、SIMカードトレイと同じ数しかAPN設定をスマホに保存できません。一方、eSIMは内蔵ICチップに複数のSIM情報を書き込めるため、SIMカードトレイの数に縛られません。
つまり、物理SIMとeSIMの両方を搭載しているスマホであれば、組み合わせることで、1台のスマホで複数のネットワークを利用できるわけです。
ただし、eSIMに複数のAPN設定を保存しても、同時に有効化できる携帯電話回線はひとつだけです。APN設定を切り替えるには、スマホの設定が必要になるため、注意しましょう。
「デュアルSIM」で月額料金をおトクにできる
デュアルSIMとは、1台のスマホで2つのSIMを利用する行為を指します。
携帯電話会社が提供する料金プランには、おトクに通話できることに特化したものもあれば、データ通信し放題のものもあります。
通話するときは通話がおトクな料金プランのSIM、インターネットに接続するときはデータ通信し放題のSIMに切り替えることで、月額料金をおトクにできます。
海外へ渡航したときに便利
海外に渡航する場合、物理SIMを使ったスマホを利用するには次の3つの方法があります。
・海外で利用できるSIMカードを持っていく方法
・契約している料金プランの海外ローミングを利用する方法
・渡航先の空港などでSIMカードを購入する方法
いずれの方法も事前の準備や売り場を探して購入する必要があるため、手間がかかります。
しかし、eSIMなら、短時間の海外ローミングやWi-Fi®などを利用して設定を行えば、海外でも数分程度でスマホを利用できます。
eSIMの4つのデメリットと注意点
メリットが多く便利なeSIMですが、物理SIMと比較してデメリットや、利用する際に気をつけたい注意点があります。
利用開始時の設定が必要
eSIMの利用には、eSIM開通用のQRコードを読み取るなどの方法で設定します。
SIMカードトレイにSIMカードを挿入するだけの物理SIMと比較すると、多少スマホの操作に対する知識が必要です。
機種変更の際に、事前に再発行の手間がかかる
新しいスマホでeSIMを利用するためには、eSIMの再発行を申請しなければなりません。申請後に再発行されるeSIM開通用のQRコードを、新しいスマホで読み取ってeSIMのプロファイル※を登録します。
※プロファイルとは、携帯電話回線からインターネットサーバーに接続するための情報のことです。
SIMカードを差し替えればすぐに利用できる物理SIMと比較すると、手続きなどに時間がかかるデメリットがあります。
eSIMに対応している携帯電話会社やスマホが限られる
普及が進むeSIMですが、すべてのスマホや携帯電話会社が対応しているわけではありません。
eSIMを選んだ場合、利用できる携帯電話会社やスマホの選択肢が狭まってしまいます。
複数の携帯電話会社を利用したい場合、SIMロックを解除しておく必要がある
複数の携帯電話会社のSIMをひとつのスマホで利用したい場合、SIMロックが有効になっていると、物理SIMと同様にeSIMも利用できません。
スマホを購入した携帯電話会社以外のeSIMを利用するには、SIMロックを解除する必要があります。
なお、2021年10月1日からSIMロック設定は原則禁止になったため、以降に販売されたスマホであればSIMロックされていません。
eSIMの利用がおすすめの人
eSIMは、紹介したメリット・デメリットを踏まえて検討するようにしましょう。
eSIMの利用がおすすめの人の特徴を以下で説明します。
おトクな料金プランをすぐに試してみたい人
携帯電話会社ではさまざまな料金プランを取り扱っており、定期的に新しい料金プランも発表されます。現在契約している料金プランよりもおトクな料金プランを見つけられることもあるでしょう。
eSIMはデータの書き換えさえすれば、すぐに別の携帯電話会社の新しい料金プランを使い始められます。
おトクな料金プランの発表があったらすぐに乗り換えて試してみたい方にとっては、eSIMの手軽さは魅力的でしょう。
複数の料金プランのいいところ取りをしたい人
eSIMとeSIM、あるいはeSIMと物理SIMカードを組み合わせれば、簡単にデュアルSIMを実現できます。
また、先ほども触れたようにデュアルSIMは複数のプランを組み合わせて使うのに適した機能です。
たとえば、携帯電話会社のキャリアメールは利用しつつ、別の携帯電話会社の使い放題プランも利用したい場合、SIMがひとつではできません。
しかしデュアルSIMにすれば、複数の料金プランのいいところ取りをして利用できます。
海外に行く機会が多い人
eSIMは国内の携帯電話会社だけでなく、海外の携帯電話会社も対応しています。
そのため、海外に行くときは海外用のeSIMに切り替えて、帰国したら普段利用しているSIMに戻すようなことも可能です。
海外に行く機会が多い方にとっては、旅行のたびに専用のWi-Fiルーターをレンタルする手間が省けるので便利です。
eSIMが活躍するシーン
eSIMはメリットが多いですが、実際に活躍するシーンをイメージしにくいかもしれません。
次項より、eSIMが活躍するシーンを説明するので、参考にしてください。
店舗に行く時間がとれないとき
eSIMは店舗に行かずに携帯電話会社の乗り換えや新規開通が行えます。
最近の携帯電話会社の店舗は予約制で、事前に予約を取っていないと対応してもらえないケースが多いです。
しかし、仕事や家事で忙しいと、都合のつく時間での予約が難しく、乗り換えや新規開通までに時間がかかります。
eSIMは自宅で乗り換えや新規開通の手続きが可能なので、仕事や家事で忙しく、予約を取るのが難しいときにおすすめです。
複数の回線を状況に応じて使いわけたいとき
eSIMで、なおかつデュアルSIM対応のスマホなら複数の回線を、状況に応じて次のような使いわけが可能です。
・1台のスマホで仕事用と個人用の電話番号を使いわけられる
・片方の回線がつながりにくいときの予備回線になる
・通話用とデータ通信用でSIMをわけられる
たとえば、仕事用と個人用の電話番号を別々にしたい場合、1枚のSIMカードしか挿せないシングルSIM対応のスマホだと複数台持ち歩くことになり、荷物が重く、管理する手間が発生します。
しかし、デュアルSIM対応のスマホなら、1台のスマホで仕事用と個人用の電話番号を使いわけられるので、荷物が少なくなり、面倒な手間を減らせるでしょう。
また、片方の回線が通信障害でつながりにくくても、もう片方の回線でインターネットに接続したり、QR決済を利用したりできるので、トラブルが起きても対応可能です。
ほかにも、通話専用の高速データ通信ができないSIM、あるいは容量が少ない安価なSIMとデータ通信専用SIMを契約して、携帯電話料金の節約も期待できます。
海外へ出発するとき
現在契約している携帯電話会社が海外ローミングに対応していると、海外でもデータ通信が可能です。
携帯電話会社によりますが、設定から海外ローミングに切り替えるだけで、国内にいるのと同じようにスマホでインターネットが利用できます。
ただし、国内で契約した料金プランのまま海外ローミングを利用すると、通信料金が高額になる可能性があるので注意しましょう。
場合によっては、海外へ出発する際にモバイルWi-Fiや現地用のSIMカードとの契約をした方が、通信料金を抑えられます。
eSIMに対応しているスマホであれば、現地用のeSIMを利用できます。日本国内でeSIMプロファイルを端末内に登録しておいて、現地でそのeSIMをオンにすることが可能なため、SIMカードを交換する手間がありません。
たとえば、iPhoneはApp Storeからデータ専用のeSIMを提供するアプリをダウンロードでき、Android™は次の手順で設定可能です。
- Wi-Fiに接続する
- 「設定」をタップする
- 「ネットワークとインターネット」をタップする
- 「追加」をタップする
- 「eSIMをダウンロードしますか」をタップする
- 画面の指示に従って操作し、海外の携帯電話会社から提供されたQRコードを読み込む
- ダウンロードが完了するまで待つ
- ダウンロードしたモバイルネットワークを開く
- 「SIMを使用」をオンにする
- ダウンロードしたモバイルネットワークに切り替える
- 「データローミング」をオンにする
- 海外の携帯電話会社の指示に従いアクセスポイントを編集する
- ダウンロードしたモバイルネットワーク以外がオフになっているか確認する
- スマホを再起動する
実際の手順はAndroidや海外の携帯電話会社によって異なるので、公式Webサイトや説明書などを確認しながら実行しましょう。
eSIMの選び方
eSIMの選び方は通常のSIMカードを選ぶときとあまり変わりません。
そのため、選ぶときはデータ利用量と通話量が重要です。次項より、eSIMの選び方を順番に解説します。
データ利用量を確認する
携帯電話会社の料金プランによって、データ利用量の上限は異なります。
データ利用量の上限が多いと、月額料金が高くなる傾向が見られるので、スマホの使い方に合ったデータ利用量を提供できる料金プランのeSIMを選ぶとよいでしょう。
たとえば、スマホを利用する機会が少ない方の場合は、データ利用量の上限が3GB程度の料金プランがおすすめです。
動画を視聴する機会が少ないが、SNSを利用する機会が多い方は上限が5GB~6GB程度の料金プランが向いています。
動画の視聴が多く、オンラインゲームやビデオ通話などを頻繁に利用する方は、データ利用量の上限が10GB以上、または無制限の料金プランを検討しましょう。
通話量を確認する
携帯電話会社の料金プランによって、通話料金や仕組み、サービスなどが異なるので、自分に合った料金プランを選びましょう。
たとえば、1回の通話が5分~10分以内と短い場合は、一定時間内の通話が無料になる料金プランがおすすめです。
通話時間が長い場合は、通話時間が増えても固定料金のまま変わらないかけ放題プランが適しています。
あるいは、デュアルSIM対応スマホで、eSIMをサブの回線として利用するなら、通話機能がないデータ通信専用プランを契約する方法も選択肢のひとつです。
まずは、普段の生活で通話する時間を確認してから、各プランの通話料金を比較しましょう。
eSIMを契約して利用する流れ
eSIMを契約して利用する流れは各社異なりますが、以下では楽天モバイルの場合を例に挙げて説明しましょう。
①自分のスマホがeSIM対応製品か、SIMロック解除済みであるかを確認する
まずは自分のスマホがeSIM対応製品であり、SIMロック解除済みであることを確認しましょう。
SIMロックがかかっているかわからない場合は、以下をご覧ください。
※スマホがSIMロック解除されているか確認する方法はこちら。
②「AIかんたん本人確認(eKYC)」で申し込む
Webのお申し込み画面、または「my 楽天モバイル」から申し込みますが、SIMタイプは「eSIM」で「AIかんたん本人確認(eKYC)」を選ぶと、eKYCによる申し込みになります。
必要書類(運転免許証/マイナンバーカードなど)の撮影とご自身の顔の撮影の後、必要事項を入力すれば、申し込み完了です。
③アプリからeSIMを開通して利用開始
最短3分で本人確認審査が完了し、「my 楽天モバイル」アプリにて、そのまま開通手続きを行えます※。
開通後に初期設定を行えば、利用できるようになります。
※楽天モバイル及びeSIMに対応する製品でeKYCご利用の場合(審査状況による)
eSIMに対応している携帯電話会社は?
総務省の後押しを受けて、eSIMの普及は急速に進んでいます。大手携帯電話会社4社と、それらのオンラインブランド、サブブランドは、すべてeSIMに対応しています。
しかし、格安スマホ(MVNO)には、まだeSIMの導入が進んでいないところもあります。
具体的に、eSIMに対応している携帯電話会社を見てみましょう。
1) 大手携帯電話会社
「NTTドコモ」、「KDDI」、「ソフトバンク」、「楽天モバイル」の4社は、すべてeSIMに対応しています。
2) オンラインブランド、サブブランド
大手携帯電話会社のオンラインブランド「ahamo」、「povo2.0」、「LINEMO」、サブブランド「UQモバイル」、「Y!mobile」は、eSIMに対応しています。
3) 格安スマホ(MVNO)の一部
eSIMに対応している格安スマホが増えてきましたが、未だ対応していない格安スマホもあります。eSIMの対応状況は、利用したい格安スマホの公式ホームページを確認してください。
eSIMに対応しているスマホは?
eSIMのサービス普及に伴い、2021年後半のモデルからはeSIM対応のスマホが増えました。
次項より、実際にeSIMが利用できるスマホをご紹介するので、参考にしてください。
iPhoneのeSIM対応製品
iPhoneはiOS 12.1 以降を搭載した iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR 以降のすべての製品でeSIMが利用できます。
AndroidのeSIM対応製品
AndroidのeSIM対応製品はシリーズによって異なり、主なシリーズの対応製品は以下のとおりです。
シリーズ |
対応製品 |
---|---|
Google Pixel |
Pixel 4以降 |
Galaxy |
Galaxy S23、S23 Ultra、S23 FE |
Xperia |
Xperia 1 IV、1 V、1 Ⅵ |
※2024年9月現在
eSIMに対応したスマホを活用しよう
eSIMは店舗に行く時間がなくても、土日祝日や夜間を問わず、いつでもオンラインで携帯電話会社を乗り換えられる点が一番の魅力です。
今すぐ、スマホや携帯電話会社を乗り換えたいと思ったら、お持ちのスマホで手続きをするだけで、あっという間に乗り換えが完了します。
お使いのスマホがeSIM対応でない方は、eSIM対応のスマホへの買い替えが必要になりますが、一緒に携帯電話会社の乗り換えもあわせて検討してみてはいかがでしょうか。
楽天モバイル公式Webサイトでは、人気のAndroidやiPhoneをはじめとした多彩なラインアップを取り揃えています。
目的や予算にぴったりな一台を探してみてはいかがでしょうか。
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※ 製品代、オプション料、通話料等は別費用。
※1 混雑時など公平なサービス提供のため速度制御する場合あり。
※2 アプリ未使用時30秒20円(税込22円)。一部対象外番号あり。データタイプのお申し込みでは、データ通信のみの利用となり通話・Rakuten Linkアプリはご利用いただけません。
※3 iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone SE(第1世代)をiOS 14.4/14.4.1/14.4.2のバージョンでご利用になる場合、110/118/119への緊急通話で高精度な位置情報測位の正確性が低下します。iOS 14.5にアップデートすることで高精度な位置情報測位に対応いたします。楽天モバイルのご利用にあたり、iOS 14.4以降ならびにキャリア設定の最新バージョンへのアップデートをお願いいたします。
※ 掲載内容はプラン名・サービス内容の変更によって、一部内容を修正する可能性がございます。
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