iPhoneを水没させたときの対処法は?本体の防水性能や修理費用も解説

iPhoneは防水性能があるため、水没後も普通に使える場合がありますが、内部に水分が入り込んでいる状態のため注意が必要です。
水没とは、スマホ内に水分が浸入し、液体浸入インジケータ(水没マーク)が反応している、またはスマホ内に腐食痕・結露が確認できる状態のことです。
水分はショートや腐食の原因になるため、故障する前に早めに対処しましょう。今回はiPhoneの防水性能や、水没させたときの対処法、水没した際にやってはいけない行動、修理費用などを解説します。
iPhoneの防水性能は?

iPhoneは防水・防塵性能を持っています。たとえば、iPhone 16やiPhone 16eなどのモデルは、「IP68等級」に適合しています。
IPとは、電子機器の外部からの異物侵入に対する保護等級であり、左側の「6」は粉塵の侵入を完全に防ぐことを、右側の「8」は一定の水深に一定時間沈めても問題がないことを示す数字です。
防塵性能は0~6、防水性能は0~9(9は高温・高圧の噴流水に耐える性能で、主に車両や工業製品に用いられる)の等級があり、数字が大きいほど性能が高いことを示します。
実際、Apple社がiPhone 12以降のモデル(miniやProなども含む)に対して行った試験では、水深6mで最大30分間の耐水性能が確認されています。
ただし、実験室の理想条件下での結果であり、日常的に利用したiPhoneは、経年劣化や衝撃などにより防水性能が低下する可能性があるため、過信は禁物です。
海辺やお風呂場など、水質や温度が異なる環境では想定外の故障を招くおそれがあるため注意しましょう。
iPhoneが水没しているかどうか確認する方法
iPhoneが水没したかどうかは、「液体浸入インジケータ(LCI)」を確認しましょう。
液体浸入インジケータは水没マークとも呼ばれており、通常は白または銀色ですが、水分に触れると赤く変色します。
たとえば、iPhone 16では液体浸入インジケータがSIMカードスロットの内部に設置されています。確認する際は、安全のため電源を切ったうえでSIMカードトレイを取り出しましょう。
また、iPhoneの充電端子(本体下部にある充電ケーブルを差し込む部分)に緑や白っぽい変色がある場合は腐食のサインであり、見た目に異常がなくても内部でダメージが進行しているケースがあります。
さらに、カメラレンズが曇り水滴のような跡がある場合は、内部で結露が発生している可能性があります。
iPhoneは精密部品で構成されているため、腐食や結露の跡を見つけても自分で分解や修理を試みるのは避けましょう。電源を切った状態で速やかにApple StoreやApple 正規サービスプロバイダに相談し、必要に応じて修理や点検を依頼してください。
※iPhoneの液体による損傷については、Appleの公式Webサイトをご確認ください。
iPhoneを水没させたときの対処法
iPhoneを水没させたときの対処法は、以下のとおりです。
・iPhoneの電源を切る
・iPhoneの水分を外側から拭き取る
・iPhoneのSIMカードトレイを取り出す
・iPhoneを乾燥させる
それぞれ、順番に解説します。
iPhoneの電源を切る
iPhoneが水没したら、最優先ですべきことは「電源を切る」ことです。濡れた状態で通電を続けると、内部の電子回路がショートして故障するおそれがあります。
iPhone(iPhone X以降)の電源を切る手順は以下のとおりです。
1.片方の音量調節ボタンとサイドボタンを長押しする
2.電源オフスライダが表示されたら放す
3.電源オフスライダを右にスライドする
iPhone 8以前の場合は、サイドボタン(または上部のスリープボタン)を長押しして電源オフスライダを表示させ、スライドして電源を切ります。
ボタン操作ができない場合は、「設定」アプリを開き、「一般」>「システム終了」とタップしてから、スライダをスライドしましょう。
iPhoneの水分を外側から拭き取る
電源をオフにしたら、次は外側の水分をしっかり拭き取りましょう。
ケースや保護カバーを付けている場合はすぐに外し、本体の状態を確認します。水以外のジュースやコーヒー、海水などが付着している場合は、端子に液体が入らないように注意しながら、水道水で軽くすすぎましょう。
次に、メガネ拭きやレンズクロスなどの糸くずが出ない柔らかい布でiPhone全体の水分を丁寧に拭き取ります。
拭き終わったら、次の手順に進みましょう。
iPhoneのSIMカードトレイを取り出す
iPhoneが水没した際は、SIMカードにも注意が必要です。
SIMカードの金属端子は水分に弱く、放置すると錆や腐食の原因となります。トレイを開けた際、内部に水が入り込む危険があるため、水分が完全に拭き取られたことを確認してからSIMカードトレイを取り出しましょう。
SIMカードトレイを外したら、トレイとカードをわけ、次項で紹介する方法で自然乾燥させます。
iPhoneを乾燥させる
iPhoneが水没した場合は、内部をしっかり乾燥させることが重要です。そのため、本体下側中央にあるコネクター部分を下に向けて、余分な水分を排出させましょう。
また、取り外したSIMカードトレイやSIMカードとともに、次の方法で自然乾燥させます。
・風通しのよい乾いた場所で放置する
・扇風機の前に置いて風を当てる
短時間で乾かしたい場合は、密閉容器にiPhoneと乾燥剤を入れて乾燥させる方法もあります。
なお、ドライヤーや電子レンジなど、高温の熱源で乾かすことはやめましょう。詳細は後述します。
iPhoneが水没した際にやってはいけない行動
iPhoneが水没した際にやってはいけない行動は、主に以下のとおりです。
・iPhoneをドライヤーで乾燥させる
・綿棒やペーパータオルを利用する
・iPhoneが乾く前に充電する
それぞれ、順番に解説します。
iPhoneをドライヤーで乾燥させる
iPhoneが水没しても、ドライヤーやヒーター、トースターなどの高温の熱源を使って乾かすのは絶対に避けるべきです。また、電子レンジを使うことも危険な行為です。
iPhoneの内部には繊細な電子部品が多数組み込まれており、高温によって基板が変形したり、部品が劣化したりするおそれがあります。
また、バッテリーに高温が加わることで、膨張や発火などの重大なトラブルにつながる可能性もあります。
iPhoneが水没した場合は、前述のとおり風通しのよい場所で自然乾燥させる方法が安全です。
綿棒やペーパータオルを利用する
iPhoneが水没して内部に水分が侵入しても、綿棒やペーパータオルで端子や隙間の水分を拭き取るのは避けましょう。
綿棒やペーパータオルなどの素材は繊維が抜けやすく、隙間に入り込んでしまうと接触不良やショートの原因になるおそれがあります。
また、綿棒やペーパータオルによって水分を奥へ押し込んでしまい、乾燥に時間がかかるケースもあるため、推奨されない対処法です。
iPhoneが乾く前に充電する
iPhoneが完全に乾く前に充電を行うのは危険です。内部に水分が残っている状態で通電すると、基板がショートしたり、バッテリーが損傷したりして、最悪の場合には発火の危険性があります。
外側が乾いているように見えても、内部には微量の水分が残っていることが多いため、最低でも5時間以上は自然乾燥させてから充電したり電源を入れたりしましょう。
iPhoneが水没したときに発生する主なトラブル
iPhoneが水没したときに発生するトラブルは、主に以下のとおりです。
・iPhoneの電源が入らない
・iPhoneが充電できない
・iPhoneのスピーカーやマイクが故障する
・iPhoneのカメラが曇る
それぞれ、順番に解説します。
iPhoneの電源が入らない
iPhoneが水没して内部に水分が侵入すると、基板上の回路がショートを起こす、バッテリーが損傷する、重要な電子部品が破損するなどして、電源が入らなくなる場合があります。
また、水没してからすぐに症状が出なくても、過去の水没によって内部に残った水分の成分が結晶化し、時間がたってから電源が入らなくなるケースも少なくありません。
目に見えない内部の損傷が蓄積することもあるため、水没してしまったiPhoneが問題ないように見えても、注意が必要です。
iPhoneが充電できない
iPhoneはコネクター内部で水分を検知すると、自動的に通電を停止し、ショートや発火を防ぐ仕組みが働きます。
充電ケーブルを接続して「液体が検出されました」と表示されたら、ケーブルを抜いて自然乾燥させましょう。
もしも、コネクター内部の水分が完全に乾いていない状態で充電した場合は、ショートして回路やバッテリーが損傷するおそれがあります。
iPhoneのスピーカーやマイクが故障する
iPhoneが水没してスピーカーやマイク部分に水分が入り込むと、空気の振動が妨げられ、音がこもったり、途切れたり、割れるように聞こえる可能性があります。
また、スピーカーのコイル部分やマイクの接点にまで水分が達すると、内部の基板や金属部品が腐食してしまい、最終的には音がまったく出なくなることがあります。
水没してから通話中に相手の声が聞こえにくい、録音がうまくいかないなどの異変があれば、スピーカーやマイクの故障を疑いましょう。
iPhoneのカメラが曇る
iPhoneで写真を撮影した際に、画像が白っぽく曇ったり、ぼやけて見えたりする場合、カメラ内部に水分が入り込んでいる可能性があります。
また、水没していなくても、お風呂場や湿度の高い場所にiPhoneを長時間放置していると、内部に水蒸気が入り込み、レンズ裏で冷却されて結露が発生するケースもあります。
カメラ部分は乾燥に時間がかかりやすく、放置すると内部の腐食や曇りが残ったままになってしまうおそれがあるため、早めに対処しましょう。
iPhoneの水没後にトラブルが起きた場合の対処法
iPhoneの水没後にトラブルが起きた場合の対処法は、以下のとおりです。
・電源が入らない場合は強制再起動を試す
・コネクターで充電できない場合はワイヤレス充電器を試してみる
・AppleまたはApple正規サービスプロバイダに修理を依頼する
電源が入らない場合は強制再起動を試す
iPhoneが水没して電源が入らず、画面が真っ暗なまま反応しない場合は、内部を十分に乾燥させてから強制再起動を試してみましょう。
iPhoneを強制再起動する手順は以下のとおりです。
【Face ID搭載のiPhoneの場合】
1.音量を上げるボタンを押して、すぐに放す
2.音量を下げるボタンを押して、すぐに放す
3.サイドボタンを、Appleロゴが表示されるまで長押しする
【iPhone 7またはiPhone 7 Plusの場合】
1.サイドボタンと音量を下げるボタンを同時に押す
2.Appleロゴが表示されたら放す
【iPhone 6s以前の場合】
1.ホームボタンとサイドボタンまたはトップボタンを同時に押す
2.Appleロゴが表示されたら放す
Appleロゴが表示されれば、再起動に成功です。
水分が内部に残っている状態で再起動すると、回路のショートや熱による水分移動によって損傷が急速に進み、復旧不能になるおそれがあるため注意しましょう。
コネクターで充電できない場合はワイヤレス充電器を試してみる
iPhoneを乾燥させた後にコネクターで充電できない、あるいは接続が不安定な場合は、MagSafeやQi対応のワイヤレス充電器を活用しましょう。ワイヤレス充電器はコネクターを利用せずに充電が可能です。
ただし、ワイヤレス充電器を利用する際もiPhoneがしっかり乾いていることが前提であり、内部に水分が残っている状態での充電は推奨されません。
AppleまたはApple正規サービスプロバイダに修理を依頼する
水没後のトラブルが前述の対処法でも改善されない場合は、自力での対応をやめて、AppleまたはApple正規サービスプロバイダに修理を依頼しましょう。
「Apple正規サービスプロバイダ」は、Appleの認定を受けた修理業者で、純正部品を用いた高品質な修理を提供しています。
特にスピーカーやマイク、カメラレンズなどの精密部品の故障は、内部での腐食や基板損傷が関係している可能性が高く、専門知識と専用機器がないと正確な修理は困難です。
非正規業者に依頼すると、純正部品での修理を受けられず、保証の対象外になる可能性があります。AppleまたはApple正規サービスプロバイダに修理を依頼しましょう。
水没したiPhoneのデータをバックアップする手順
水没したiPhoneは、一時的に使えていても内部で徐々に不具合が進行している場合があり、ある日突然データにアクセスできなくなることがあります。
また、故障の内容にもよりますが、修理に出すとデータが初期化される可能性があるため、事前のバックアップが必須です。
万が一に備えて、以下の手順でiPhoneのバックアップを作成しておきましょう。
1.「設定」アプリをタップする
2.「[ユーザ名]」をタップする
3.「iCloud」をタップする
4.「iCloudバックアップ」をタップする
5.「今すぐバックアップを作成」をタップする(表示されない場合は、先に「このiPhoneをバックアップ」をオンにする)
なお、iPhoneのバックアップを作成する方法はiCloud以外にもあるため、自分にあった方法を選びましょう。
※iPhoneのバックアップの方法については、こちらをご確認ください。
水没したiPhoneの修理費用
iPhoneが水没した場合の修理費用は、モデルや修理内容、AppleCare+への加入状況によって大きく異なります。
特に水没は本体交換が必要になるケースが多いため、修理代が高額になる可能性があります。
次の表は、iPhone 16の修理費用の目安です(2025年9月1日時点)。
|
|
修理費用の目安 |
|---|---|
|
AppleCare+未加入 |
87,800円(税込) |
|
AppleCare+加入(過失/事故) |
12,900円(税込) |
AppleCare+は、Appleが提供する有料の延長保証サービスです。過失による水没で故障した場合でも定額での修理が可能であり、修理費用を大幅に抑えられます。
AppleCare+に加入していないと修理費用が高額になる可能性があるため、日常的に水場でiPhoneを使う人はAppleCare+の加入を検討してみましょう。
※iPhoneの修理費用についての詳細はAppleの公式Webサイトをご確認ください。
iPhoneが水没したら速やかに対処法を試そう

iPhoneが水没した際は、電源をすぐに切り、外側の水分を拭き取りましょう。次に、コネクターを下にして風通しのよい場所で自然乾燥させるのが基本です。
気温や状況にもよりますが、最低でも5時間はしっかり乾かしてから充電したり電源を入れたりしてください。
完全に乾いたように見えても、電源が入らない、充電できない、音が出ない、カメラが曇るなどの不具合があれば、AppleやApple 正規サービスプロバイダに相談するとよいでしょう。
また、修理費が買い替えの金額に近い場合は、思い切って新しいスマホへ乗り換えるのもひとつの選択肢です。
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