MVNOとは?仕組みやメリット、注意点、選び方をわかりやすく解説
MVNOは「仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)」の略称です。
別の携帯電話会社のネットワークを借りてサービスを提供しているため、通常の携帯電話会社とは異なる部分があります。
今回はMVNOの意味や仕組み、メリット、注意点、選び方などを解説します。
MVNO(仮想移動体通信事業者)とは?格安スマホとの関係は?
MVNOとは、格安SIMを提供している事業者のことです。MNO(移動体通信事業者)と呼ばれる携帯電話会社が保有する基地局の帯域(一定時間に利用できるデータ容量)を借りて、通話・インターネットを提供します。
※ 帯域の詳細はこちらをご参照ください。
スマホに利用する電波は、実は無限ではありません。さまざまな理由から利用できる上限があり、国民全体の共有資源となっています。
総務省のガイドライン(※)にも「回線設備の提供依頼を受けた際、MNOはそれに応じる義務がある」と書かれています。MNOから携帯電話回線を借りたMVNOは、MNOへ接続料金を支払います。
この義務によって一部企業による電波の独占を回避し、携帯電話市場での競争原理を促すことで、スマホを適正価格で利用できる仕組みが作られています。
※1 出典:総務省|MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン
すでに多くの企業がMVNO市場に参入しており、各社が多様な料金プランやキャンペーンを展開しています。
格安SIMと格安スマホの定義は?
MVNOにまつわる用語として格安SIMと格安スマホがあります。「格安SIMと格安スマホってなにが違うの?」と疑問を持つ人も多いでしょう。
両者の単語の意味は少し異なり、MVNOが提供するSIMカードは格安SIMと呼ばれます。
格安スマホはその名の通り格安なスマホを意味しますが、格安SIMが出回り始めた頃、格安SIMは安価なSIMフリースマホと組み合わせて使われることが多かったため、両方を合わせて格安スマホと呼ばれるようになりました。
日本においてSIMフリースマホは、主に中国など海外のスマホメーカーが製造し、安価な価格で販売されてきた背景があります。
・格安SIM:MVNOが提供するSIMカード
・格安スマホ:格安SIMを入れて使うSIMフリースマホ
店舗が少ない為、公式Webサイトで契約手続きをするケースが多くなるMVNOでは、契約後にSIMカードが送付されます。SIMカードを利用するスマホに挿入し、所定の開通手続きを行うことによって電話やインターネットが使えるようになる仕組みです。
店舗に足を運ばずにすむ手軽さはありますが、すべての初期設定を自分で行う必要があります。
なお、楽天モバイルは2019年10月よりMNOとしてサービスを開始しているため、MVNOや格安SIMではありません。
※格安スマホの詳細はこちらをご参照ください。
MVNOをリーズナブルに利用できる理由は?
MVNOは、通信基地局などを保有しないことで初期コストや維持コストを抑制できているため、MNOよりも安価にサービスを提供できる傾向が見られます。
例えば、MNOから帯域を借りることで基地局を維持するための設備費用を削減し、店舗の数を減らすことで人件費を抑え、さらに提供するサービスを限定しているので、リーズナブルな料金プランの設定が可能です。
近年はMNOでもリーズナブルな料金プランを提供していますが、同じデータ容量の料金プランと比較すると、やはりMVNOの方が抑えられている傾向があります。
そのため、月額利用料を抑えたいと考えている方は、MVNOの料金プランを検討してみましょう。
MVNOのメリットは?
MVNOのメリットは以下のとおりです。
・料金が抑えられる可能性がある
・ご自身のニーズにあった料金プランを選びやすい
・乗り換えがしやすい
上記を順番に解説します。
料金が抑えられる可能性がある
MVNOは通信設備を持つ会社からネットワークを借りてサービスを提供しているため、基地局を維持するための費用が発生しません。
また、実店舗の数が少ない、あるいは持たないことで人件費や店舗費用などを節約し、提供するサービスやオプションを限定しているため、MNOに比べて月額利用料が抑えられている傾向があります。
総務省が発表した「「移動通信分野における接続料等と利用者料金の関係の検証」の対象サービス等について(案)」(※2)によると、データ容量の上限が近い料金プランを比較した場合、MNOに比べてMVNOの方が、月額利用料が抑えられています。そのため、MVNOは節約したい方におすすめです。
※2 出典:総務省「「移動通信分野における接続料等と利用者料金の関係の検証」の対象サービス等について(案)」
ご自身のニーズにあった料金プランを選びやすい
MVNOでは、次のようなさまざまな料金プランを提供しています。
・データ容量が5GB以下の低容量プラン
・データ容量が6GB~20GBの中容量プラン
・データ容量が21GB以上の大容量プラン
・データ容量が無制限の料金プラン
・音声通話かけ放題のオプション
スマホの使い方は人によって異なるため、1カ月間のデータ利用量も個人で異なります。
動画やゲームでスマホを使う頻度が多い方はデータ容量が大容量プランや無制限が適しており、使う頻度が少ない方は低容量プランがおすすめです。
MVNOによって異なりますが、複数の料金プランを提供しているため、ご自身のニーズにあった料金プランを選べます。
乗り換えがしやすい
MVNOは実店舗を持たず、新規開通や乗り換えなどの手続きをオンラインで進められることが多いです。
本人確認書類の提示や支払い方法の設定などの手続きがすべてインターネットで済むため、仕事や家事で忙しい方でも乗り換えがしやすくなっています。
MVNOのデメリットは?
MVNOのデメリットは以下のとおりです。
・通信速度が遅くなりやすい
・乗り換えによりキャリアメールが利用しにくくなる
・実店舗でのサポートがほとんど受けられない
上記を順番に解説します。
通信速度が遅くなりやすい
MVNOは通信速度が遅い、あるいは遅くなる時間帯が発生しやすいです。
MNOから帯域をレンタルしているため、利用者が多い時間帯になると通信が混雑してしまい、通信速度が遅くなります。
たとえば、通勤や通学の時間帯、昼休み、夕方から夜にかけて通信速度が落ち込みやすく、不便に感じる方が多いです。
MVNOは携帯電話料金が抑えられますが、通信速度が遅くなる可能性がある点に、注意しましょう。
乗り換えることでキャリアメールが利用しにくくなる
キャリアメールとは、携帯電話会社がご契約者に与えているメールアドレスです。
MVNOに乗り換えると以前のキャリアメールが利用できなくなり、乗り換え先のMVNOのサービスによっては新しいキャリアメールをもらえない可能性があります。また、MVNOではキャリアメールのサービスを提供していないことがほとんどです。
最近は携帯電話会社の乗り換え時に手続きをすればキャリアメールを持ち運ぶことが可能ですが、月額料金を支払う必要があり、メールの設定も手間がかかるため、内容を確認しましょう。
実店舗でのサポートがほとんど受けられない
MVNOにもよりますが、コストカットのために実店舗を持たない傾向があるため、トラブルが起きたときに実店舗でのサポートを受けられない場合があります。
インターネットを通じたサポートは受けられますが、トラブルが起きたときにすぐに対応してもらえない可能性があることは不安と感じるかもしれません。
MVNOを契約する際に気をつけたい4つのポイント
安価な料金プランが特長のMVNOですが、利用にあたって注意しておきたい点があります。
節約を優先した結果、日常的なデータ通信に制限が出て、インターネットの利用が不自由になってしまうケースです。
たとえば毎月のデータ容量が3GBの料金プランを契約した場合、データ通信でできることはかなり限られてしまいます。
1カ月間でできることはSNSで連絡を取ったり、ニュースアプリをたまに閲覧したりする程度になるため、動画を頻繁に再生する場合は、データ容量がすぐに足りなくなってしまうでしょう。
契約後に「期待していたものと違った…」とならないためにも、自分が使うデータ容量や、MVNOのデメリットをしっかりと確認しておきましょう。
※ スマホのデータ料金を選ぶ時に知っておきたいデータ容量の目安はこちらをご確認ください。
1)店舗が少ないため対面サポートを受けにくい
MVNOの多くは公式Webサイトでの手続きが中心で、店舗は限られています。そのため、対面サポートを求める人には不便でしょう。
時間と場所を選ばないのがオンライン手続きのメリットですが、店舗が少ないと万一のトラブルが発生したときには解決するのに時間がかかる場合があります。
たとえば、画面が割れて操作できなくなってしまったとき、故障の対処方法を検索できなくなります。新しいスマホを用意したり、パソコンを使ったりして対処方法を探すことになるため、手間がかかります。
また、対面サポートがあれば、修理対応や操作方法の不明点などすぐに解決できる問題も、店舗が少ないMVNOでは時間がかかることがあります。
サポートは基本的にオンラインになるため、細かなニュアンスが伝わりにくかったり、窓口につながりにくかったりします。
2)乗り換えの手続きはご自身で行う
実店舗を持たないMVNOの場合、乗り換える際の手続きをご自身で行います。
SIMカードの入れ替えやeSIMの書き換えなどをご自身で行う際に、スマホによってはAPNの設定も必要です。
APNとはAccess Point Nameの略称で、SIMカードが利用する通信サービスを指定する役割があります。
スマホによっては、MVNOに乗り換える際にAPNの設定をご自身で行う必要があるため、失敗しないように公式Webサイトで手順を確認しておきましょう。
3)動画・ゲームアプリなどを頻繁に利用する人には向かないケースも
MVNOと、たくさんのデータ容量を必要とする動画再生やオンラインゲームとの相性は、必ずしもよいとは限りません。
一般的にMVNOは、データ容量が1〜6GB前後の料金プランがコスト面でのメリットが高いといわれています。
そのため、コストパフォーマンスを優先した料金プランを選んだ場合、データ通信が多い利用の仕方をすると、あっという間にデータ容量が不足してしまいます。
もしも、MVNOで動画やゲームを楽しみたい場合、データ容量が大きい高額な料金プランを契約する必要があります。
一部のMVNOには大量のデータ通信に対応した料金プランがありますが、データ容量が大きくなるに従って割高になってしまうため、安価が魅力のMVNOを選択するメリットが失われてしまうでしょう。
4)通信速度が遅い、もしくはつながりにくいシーンがある
MVNOには、時間や場所によってデータ通信が不安定になるときがあります。たとえば、一度に多くの人がスマホを利用するお昼休みや、電波が届きにくい地下街などです。
データ通信が不安定になる理由として挙げられるのは、MVNOがMNOから帯域をレンタルしている仕組みです。
帯域とは「一度に流せるデータ容量」を表し、MVNOとMNOの間で帯域の量について取り決めを行うのが通常です。
契約で決められた帯域に利用が集中すると、道が渋滞するように、データも滞ります。多くの人が同じタイミングでインターネットへアクセスすると、「通信速度が遅くなった」と感じることになるわけです。
携帯電話料金は抑えられますが、代わりにデータ通信の品質も低下してしまうのが、MVNOの大きなデメリットでしょう。
月額料金を抑えて安価に、かつ高品質なデータ通信を利用したいのであれば、MNOがサービスを提供している楽天モバイルのような携帯電話会社がおすすめです。
オンラインブランド・サブブランドはデータ通信や通話の品質はMNOと同等ですが、ユーザーサポートを始めとするサービスを必要最低限にしたことで、月額料金を安価にして提供しています。
ただし、オンラインブランドはMNOの通常の料金プランと比較すると、各種手続きがオンラインに限られてしまったり、店舗でのサポートが十分に受けられなかったりと、デメリットもあります。
※格安スマホやサブブランドの比較はこちらをご参照ください。
MVNOの格安SIMや格安スマホを選ぶときのポイント
MVNOの格安SIMや格安スマホを選ぶポイントは以下のとおりです。
・料金や提供条件
・通信速度
・スマホの種類
上記を順番に解説します。
料金や提供条件
MVNOによって月額料金や提供条件は異なります。特に、解約条件や解約金、契約期間の有無、通信制限などは重要なポイントです。
たとえば、一定期間内でデータ容量が上限に達すると通信速度に制限がかかり低速になる料金プランと契約すると、スマホの使い方によっては快適に楽しむことが難しくなります。
月額料金や解約条件、通信制限などの重要なポイントは契約前に確認しましょう。
通信速度
MVNOによっては通信速度が遅い場合があり、次のようなデメリットを被る可能性があります。
・動画がスムーズに再生できない
・ゲームのダウンロードに時間がかかる
・画像の読み込みが遅い
・ビデオ通話中に音ずれが発生する
実際の通信速度はスマホを利用している場所や時間帯の影響を受けやすいですが、契約前に口コミを確認するとよいです。
スマホの種類
スマホの種類によってはMVNOのSIMカードが利用できない場合があります。
SIMフリーのスマホなら問題ありませんが、SIMロックがかかっているスマホは次の手順で解除しましょう。
1,契約している携帯電話会社の店舗や公式Webサイトなどに相談する
2,指示に従って手続きを進める
ただし、スマホの種類とSIMカードの組み合わせによっては、SIMロック解除をしても対応周波数や通信方式が異なるため正常に動作しない可能性があります。
SIMロックを解除してもMVNOのSIMカードが利用できない場合があるので、契約する前に公式Webサイトで動作確認をするべきです。
MVNOの特徴を理解したうえで、ご自身にあった携帯電話会社を選ぼう
MVNOとは、格安SIMを提供している事業者のことです。
通信設備を持つ会社からネットワークを借りてサービスを提供しているため、月額料金が抑えられた料金プランを提供しています。
MVNOに乗り換えることでスマホの月額料金は抑えられますが、実店舗でのサポートを受けにくくなる、つながりにくい場合があるなどのデメリットに注意が必要です。
月額料金を抑えてスマートフォンを快適に使いたいなら、ご自身にあった携帯電話会社を選ぶとよいでしょう。
楽天モバイルの料金プランでは、データ利用量に合わせて料金が自動的に変わるため、たくさん使う人にもあまり使わない人にもおすすめの料金プランです。
家族割引適用※で、3GBまでは880円/月(税込968円)、20GB超過後はどれだけ使っても2,880円/月(税込3,168円)とデータ使い放題※1なので、データ容量を心配せず快適な通信をご体験いただけます。
※通話料等別
※プログラム適用条件あり。詳細はこちらをご確認ください。
ぜひ楽天モバイルをご検討ください。
- 家族割引適用で、0GB〜3GBまで880円/月(税込968円)
- 家族割引適用で、3GB超過後〜20GBまで1,880円/月(税込2,068円)
- 家族割引適用で、20GB超過後〜どれだけ使ってもデータ高速無制限2,880円/月(税込3,168円) ※1
- Rakuten Linkアプリ利用で国内通話かけ放題※2
- iPhone(iOS 14.4以降対象)をご利用の場合は条件をご確認ください。※3
※ 製品代、オプション料、通話料等は別費用。
※1 混雑時など公平なサービス提供のため速度制御する場合あり。
※2 アプリ未使用時30秒20円(税込22円)。一部対象外番号あり。データタイプのお申し込みでは、データ通信のみの利用となり通話・Rakuten Linkアプリはご利用いただけません。
※3 iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone SE(第1世代)をiOS 14.4/14.4.1/14.4.2のバージョンでご利用になる場合、110/118/119への緊急通話で高精度な位置情報測位の正確性が低下します。iOS 14.5にアップデートすることで高精度な位置情報測位に対応いたします。楽天モバイルのご利用にあたり、iOS 14.4以降ならびにキャリア設定の最新バージョンへのアップデートをお願いいたします。
※ 掲載内容はプラン名・サービス内容の変更によって、一部内容を修正する可能性がございます。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。