スマホを水没させたときにしてはいけない4つの行動と復活させる対処法
大切なスマホをお風呂やトイレ、大きな水溜まりなどに落としてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。
スマホを水の中に落としてしまい「どうしよう!壊れてないかな!?」と慌てて電源を入れたり、スマホの内部に入り込んだ水を排出しようとして振ってしまったりすると、かえって故障させてしまうケースがあります。
そもそも、「完全防水って聞いたのに、どうして水没した程度で故障するの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで今回はスマホの防水性能の見方や、安全にスマホを回復させるための対処法を解説していきます。
スマホの防水性能は完全防水ではない
近年、スマホのスペック表などに「IPX7」や「IPX8」といった表記が記載されているスマホが増えています。
IPとは「International Protection(インターナショナル・プロテクション)」の略で、防塵・防水性能を表す規格のことです。国際電気標準会議(IEC)で定められており、日本工業規格(JIS)でもJISC0920でこの規格を採用することで互換性を持っています。
このIP規格は固形物や液体の浸入保護を等級で表したもので、以下のような等級に分かれています。
保護等級 |
内容 |
---|---|
0級 |
保護されていない |
1級 |
鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響を受けない |
2級 |
鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響を受けない |
3級 |
鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響を受けない |
4級 |
あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響を受けない |
5級 |
あらゆる方向からの噴流水による有害な影響を受けない |
6級 |
あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響を受けない |
7級 |
一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水しない |
8級 |
継続的に水没しても内部に浸水しない |
しかし、実はIP規格の保護等級が高くても、完全防水とはいえません。その理由は、IP規格の試験基準にあります。
IP規格には試験をする際の厳密な気圧や水量、時間などは定められていません。防水機能を確認するための水深や水圧、浸水時間の基準がないため、各社の基準に任されています。
そのため、同じ等級であっても実際の性能はまちまちです。特に8等級は水中型といわれており、基準は「水没状態での使用時に浸水しないこと」と定められていますが、定義が曖昧なため各社独自の基準による試験が行われています。
また、スマホに施されている防水機能は永続ではなく、通常の使用でも劣化していく可能性があります。加えて、スマホは充電端子やイヤホンジャックなどが露出しており、水に濡れた状態で充電端子を使用すると故障するおそれがあるため、注意が必要です。
IP等級の見方は?防塵や防水の等級の表記と読み方
スマホの性能にあるIP57などの数字は、IP等級による防塵防水の性能を示しています。
1つ目の数字が防塵性能、2つ目の数字が防水性能で、それぞれの性能を単体で表す場合、防塵性能はIP5X、防水機能はIPX6のように表記されます。
IP57と書かれていた場合、防塵性能が5等級、防水性能が7等級であることがわかります。
また、IPX7、IPX8は水に沈めた状態(潜水)での防水性能を示しているため、強い水圧の水(噴流)をかけた場合の防水性能とは異なります。
そこで、噴流、潜水のそれぞれに対する防水性能があることを示すため、IPX5/IPX7のように併記することがあります。
スマホを水没させたときにやってはいけない4つの行動
スマホを水没させた直後、誤った対処をすると悪化させてしまうことがあります。ついついやってしまいがちな、故障しやすい4つの行動を見てみましょう。
1)水没したスマホの電源を入れる
水没したスマホが故障していないか確認しようとしてスマホの電源を入れると、スマホ内部に侵入している水に通電して故障の原因になります。スマホが無事か気になる気持ちを抑えて、電源を切りましょう。
2)ドライヤーの風を当てて乾かす
スマホ内部に入り込んだ水を早く乾かそうとしてドライヤーの温風を当てると、スマホ内部の部品が加熱されて故障の原因になります。
3)水没したスマホを振る
スマホの内部に入り込んだ水を排出しようとして振ってしまうと、かえって中まで水が浸入してしまい、故障の原因になってしまいます。
4)水没したスマホを充電する
水没したスマホは、充電端子やイヤホンジャックから水が入っている状態です。その状態で充電すると、ショートして故障する可能性があり、感電のリスクも高まります。
水没したスマホの応急処置
水没したスマホは、適切な応急処置を施すことで、そのまま放置するよりも故障のリスクを下げることができます。
※応急処置は故障リスクを軽減しますが、必ずしも水没による故障の回避を保証するものではありません。
1)すぐに電源を切る
スマホ内部に水が浸入している状態で電源を入れると、ショートによる故障の原因になる可能性があります。できるだけすぐに電源を切りましょう。
2)カバーを外し、乾いたタオルやキッチンペーパーなどで水分を丁寧に拭き取る
スマホカバーやケースを外し、乾いたタオルやキッチンペーパー、ティッシュなどの吸水性が良いもので水分を丁寧に拭き取ります。イヤホンジャックや充電端子の水分も、忘れずしっかりと拭き取っておきましょう。
3)SIMカード、SDカード、脱着式の場合は電池パックも取り出し、水分を拭き取る
SIMカードトレイやSDカードトレイなど、取り外しができるものはすべて取り外し、水分を拭き取ります。電池パックが脱着式の場合は、電池パックも取り外して水分を拭き取りましょう。
4)入浴剤や洗剤などが入っていた場合はウェットティッシュなどで拭き取る
スマホを落とした水に入浴剤や洗剤などの、水以外の成分が入っていた場合は、成分が残ると基板のショートや腐食の原因になることがあります。水分を拭き取った後、端子などの水が付着した部分をウェットティッシュなどで拭き取ってください。
5)シリカゲルなどの乾燥剤と一緒にして乾燥させる
シリカゲルなどの乾燥剤とスマホを一緒に置いて、水分を自然乾燥させます。シリカゲルがない場合は、よく乾いたタオルやキッチンペーパーで包んで自然乾燥させましょう。
水没したスマホが故障した場合の対処法
水没したスマホに応急処置を施して、スマホ内部に入り込んだ水を乾燥させても、電源が入らなかったり、動作がおかしかったりする場合、自分で修理することは困難です。このような場合はスマホを購入した店舗に連絡して、修理を依頼しましょう。
・携帯電話会社からスマホを購入した場合
スマホの保証サービスなどに加入している場合は、安価な費用で修理を依頼することができます。もし保証等に加入していない場合は、スマホの修理費用は全額負担になります。
・SIMフリースマホを購入した場合
スマホメーカーの修理部門や、修理専門の業者に依頼します。スマホ関係の保険に加入していない場合、修理費用は全額負担になります。
・iPhoneの場合、Apple公認の修理店に依頼する
iPhoneはApple StoreもしくはApple公認の修理店に修理を依頼しましょう。非公認の修理店で修理を受けると、Appleの製品保証の対象外になってしまいます。
iPhoneの場合は、購入した携帯電話会社もしくはApple StoreでAppleCare+ for iPhoneなどに加入していれば、安価で修理が受けられます。加入していない場合の修理費用は全額負担になります。
いずれの場合も、スマホの中に保存されているデータは修理時に初期化される可能性があるため、写真やアプリなどのデータはバックアップしておきましょう。
※iPhoneでデータをバックアップする方法についてはこちら。
※Android™のスマホでデータをバックアップする方法についてはこちら。
水没して時間が経過してからスマホが故障するケースにも注意しよう
水没した後、しばらくは正常に動作していたのに、急に電源が入らなくなったり、正常に動作しなくなったりするなど、時間が経過してから故障するケースがあります。
これはスマホ内部に入り込んだ水分が蒸発したことで、水に含まれていたミネラルやカルキなどが結晶化して、そこから基板が腐食したことが考えられます。
腐食は時間をかけて進むため、すぐに症状が現れないことも多々あります。そのため、スマホが水没してから時間が経って、完全に乾いたから大丈夫と思っていたら、ある日突然動かなくなってしまうこともあるのです。
水没後に応急処置を施して、スマホが動くことを確認したら、すぐにバックアップを取っておきましょう。また、不安な場合は修理を依頼しておくと安心です。
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水没は、日常の中でよく起きる可能性がある故障です。防水と表記されているスマホでも、水に濡れた状況や経年劣化の度合いによっては、故障してしまうリスクがあります。
普段からバックアップをしっかりと取っておくだけでなく、故障に備えてスマホの保証プランに加入しておくことも大切です。
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