IoTとは？読み方・意味・仕組みや活用事例を簡単に紹介

身近なところでは、テレビやエアコンなどのスマート家電にIoTの技術が活用されていて、農業・製造業・医療・物流・交通など幅広い分野で普及が進んでいます。
今回は、IoTとはなにか、身近な活用例、分野ごとの活用事例、IoTで利用されている技術などを紹介します。

IoTとは？｜読み方・意味

IoT（アイオーティー）とは、「Internet of Things」の略称で「モノのインターネット」と直訳されます。

家電やオフィス・工場の設備、車両や各種センサーに通信機能を持たせ、インターネットを介してデータを送受信できるようにする技術を指す言葉です。

IoTの活用により、自宅のスマートホーム化、産業分野での予防保全や省力化、社会インフラの効率化など、幅広い分野での応用が期待されています。

IoTの仕組み

IoTは、センサーやデバイスが取得したデータをネットワーク経由で送受信し、人やモノが連携して動作する仕組みです。

IoTの構成要素は、主に以下のとおりです。

たとえば、スマートエアコンの場合、以下のような流れで取得したデータがアプリに表示されます。

1.エアコン本体にある温度センサーが室内の温度を計測する

2.取得したデータが家庭内のWi-Fi経由でクラウド上のサーバーに送られる

3.サーバーがデータを蓄積・分析する

4.温度などの情報がユーザーに送られ、スマホアプリに表示される

また、遠隔でスマートエアコンの設定温度を下げる場合は、以下のような流れです。

1.ユーザーがスマホアプリから「冷房を26℃に設定」と指示を出す

2.操作情報がインターネット経由でエアコンに送られる

3.エアコン本体のモーターや冷媒システムを動かして室温が下げられる

IoTで実現できること

IoTで実現できることは、一般的に以下が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

・遠隔でモノを操作する

・遠隔でモノを確認する

・遠隔でモノを検知する

・モノ同士で通信する

遠隔でモノを操作する

IoTにより、離れたところにあるものを遠隔で操作できるようになります。

スマート家電などの場合、外出先から以下のような操作が可能です。

・エアコンのオン／オフ切り替えや温度設定

・給湯器の操作によるお湯はり

・ペット用フードサーバーによる食事の自動供給

・テレビと接続したレコーダーへの録画予約

たとえば、IoT対応家電を外出先から専用アプリで操作すれば、帰宅時に部屋を快適な温度に保ったり、すぐにお湯につかれるよう準備できたりします。

遠隔でモノを確認する

IoTにより、離れたところにあるモノの状態を確認できるようになります。スマート家電などの場合、外出先から以下のような使い方が可能です。

・自宅のエアコンの稼働状況・室内温度を確認する

・冷蔵庫の中身をカメラで確認して、お買い物中に必要な食材を把握する

・玄関や室内に設置した防犯カメラの映像を確認する

・ペット用のスマート首輪でペットの健康状態を確認する

・洗濯機の運転中／終了の状況や残り時間を確認する

たとえば、健康状態が測定できるスマート首輪をペットに装着すれば、食事や睡眠の状態や活動量などをモニタリングして、健康管理に役立てることができます。

遠隔でモノを検知する

センサーがモノや周囲の環境を検知し、IoTによって環境や設備を最適に管理することが可能です。遠隔で検知する仕組みは、以下のような場面で活用されています。

・スマート水道メーターで使用量や漏水を検知する

・高齢者宅に設置したセンサーで転倒を検知する

・オフィスや店舗で人の動きを検知し、照明や空調を自動調整する

・農業用ハウスで温度や湿度を検知し、自動で水やりや換気を行う

・工場設備の振動や温度を検知して、早期に異常を発見する

たとえば工場では、機器の振動データをAIで解析し、異常時の振動パターンを検知する技術などが活用されています。

モノ同士で通信する

IoTにより、モノ同士が連携して動作することも可能です。モノ同士の通信技術は、以下のような場面で利用（または検討）されています。

・スマートスピーカーとスマート家電を連携して声で操作する

・開閉センサーと連携して窓が開いているときにエアコンを自動でオフにする

・車両と信号機を連携して待ち時間を調整する（実証実験などが進められている段階）

たとえば、スマートスピーカーに呼びかけてスマート家電を操作できる仕組みも、モノ同士の通信に該当します。音声で「照明をつけて」「エアコンをつけて」などの指示を出すことで、スマート家電を操作できます。

ちなみに、IoTでのモノ同士の連携と似た仕組みとして「M2M（Machine to Machine）」という技術があります。こちらは、モノ同士がインターネットを介さずに直接通信できるものです。

IoTの身近な活用例

IoTの身近な活用例としては、たとえば以下のようなものが挙げられます。

生活の中でIoTを意識していなくても、すでにいくつか使用しているかもしれません。最新の家電などでは、多くの製品にIoTの機能が搭載されています。

IoTの分野ごとの活用事例

IoTは、産業や社会インフラの分野でも幅広く活用が進められています。以下では、農業、製造業、医療、物流、交通の分野での活用事例を見ていきましょう。

IoTと農業

農業分野では、ICT（情報通信技術）やロボット技術と組み合わせた「スマート農業」が注目されています。センサーで土壌や温度、湿度を測定し、そのデータをもとに水や肥料を自動で調整することで、効率的で安定した栽培が可能になります。

また、除草や農薬散布にもIoTが活用されていて、たとえば、リモートセンシング（遠隔観測）技術を利用したドローンによる農薬散布などの技術も注目されています。

IoTと製造業

製造業では、製造ラインにセンサーを設置し、設備の稼働時間や停止時間、生産量、作業員の状況などを見える化することで、稼働状況や生産状況をリアルタイムに把握できるようになります。

また、IoTは異常検知や予知保全にも役立ちます。温度センサーや振動センサーのデータを常時収集し、通常と異なる状態を検知することで、故障やトラブルを未然に防ぐことが可能です。

IoTと医療

医療の現場でも、IoTは患者や医療従事者を支える役割を果たしています。

特に、スマートウォッチやスマートリングなどのウェアラブルデバイスを用いることで、心拍や睡眠状態など日常の体調を継続的に記録できます。

蓄積したデータは医師と共有され、健康管理や診断の補助に活用されるようになっています。

また、オンライン診療においても、こうしたウェアラブルデバイスで計測した情報を送信し、医師が遠隔で確認できる仕組みが広がりつつあります。

IoTと物流

物流分野では、倉庫や配送においてIoTの技術が導入されています。たとえば、倉庫内では電波で読み取れる「RFIDタグ」を活用すると、商品に取り付けたタグを読み取ることで在庫管理ができるようになります。

また、自律走行型のロボットを使えば、倉庫内での搬送作業を効率化でき、人手不足の解消にも役立ちます。配送段階では、トラックの位置情報や積荷の温度をリアルタイムで把握し、到着時間や品質管理を最適化するためにIoTが活用されています。

IoTと交通

交通分野では、たとえばバスや電車の運行情報を取得し、アプリを通じて利用者がリアルタイムで確認できるサービスが、一部の交通機関で提供されています。

また、タクシー配車アプリでは、車両の位置情報を活用して近くの車両を効率的に割り当てる仕組みが導入されています。

IoTに関連する技術

以下でIoTに関連する通信やそのほかの技術について、いくつか見ていきましょう。

5G

5Gは「第5世代移動通信システム」と呼ばれる通信方式で、「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった特長を備えています。

IoTの普及がさらに進めば、センサーや機器から膨大な量のデータ通信が発生します。その通信を支える技術のひとつが5Gです。

たとえば、防犯カメラはより高精細な画像が求められるようになっており、高速・大容量な5Gでの送信が行われつつあります。自動運転では、将来的に車両のレーダーやカメラで取得した大量のデータをリアルタイムに多くの車両で通信することも想定され、本格的な普及には5Gが不可欠とされています。

LPWA

LPWA（エルピーダブリューエー、Low Power Wide Area）は、省電力で広範囲をカバーできる通信技術です。以下のようなメリットから、IoTの分野で注目されています。

・長距離通信に対応できる

・省電力で長期間稼働できる

・安価に利用できる

たとえば、スマート農業では、広い農地に点在させたセンサーで広域を監視し、栽培環境を管理するときなどに、広域をカバーできるLPWAの通信が活用されることがあります。

AI

AIは、IoTで集められた膨大なデータを分析するために活用されます。センサーや機器から送られてくるデータについて、自動的にパターンを見つけることができます。

たとえば、スマートホームではAIが利用者の生活リズムを学習し、エアコンや照明を自動で調整することが可能です。

また、工場ではIoT機器から取得したデータをAIが解析して機械の故障を予測したり、生産ラインの効率を高めたりする活用が進んでいます。

Windows for IoT

Windows for IoTは、マイクロソフトが提供するIoT向けのWindowsです。

通常のパソコン向けWindowsをベースに、業務用・産業用の機器に組み込んで使えるように設計されていて、POSレジ（売上や在庫などの管理ができるレジ）や医療機器、FA機器（工場の生産ラインなどを自動化するシステムや機器）などに活用されています。

IoTの今後の市場規模

国連貿易開発会議（UNCTAD）の2021年の報告によると、IoT技術の市場規模は2018年に1,300億米ドルで、2025年には最大1.5兆米ドルまで成長すると予測されています。

また、令和7年版情報通信白書によると、世界のIoTデバイス数の推移と予測は以下のとおりで、2027年には583.9億台に達することが見込まれています。

IoTを理解して暮らしに役立てよう

IoTは、機器やセンサーなどのモノに通信機能を持たせ、インターネットを介してデータを送受信する技術です。

身近なところでは、IoTに対応したスマート家電や防犯カメラ、住宅設備を活用したスマートホームがあり、社会に目を向けると産業や社会インフラなどにIoTの導入が進められています。

IoTの仕組みや技術を知って、日々の暮らしに役立てていきましょう。

また、スマホをIoTデバイスに接続して活用するなら、外出先でも通信しやすいデータ容量に余裕のある料金プランがおすすめです。

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