マルウェアとは?ウイルスとの違いや種類、感染経路、対処法などをわかりやすく解説

マルウェアとは?ウイルスとの違いや種類、感染経路、対処法などをわかりやすく解説
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2026.07.24

マルウェアは、パソコンやスマホなどに被害をおよぼすおそれがある、身近なセキュリティ上の脅威です。

しかし、ウイルスとの違いや感染した場合の症状、予防方法などがわからず不安な方も多いのではないでしょうか。
今回は、マルウェアの意味や主な種類、感染経路、症状、対処法などをわかりやすく解説します。

目次

マルウェアとは

マルウェアとは、悪意のあるソフトウェアの総称です。英語の「malicious(悪意のある)」と「software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語で、利用者に不利益を与える目的で作られた不正なプログラム全般を指します。

マルウェアの攻撃対象はパソコンに限りません。スマホやタブレットなども標的となり、侵入に成功すると個人情報やパスワードの窃取、保存データの破壊、製品の遠隔操作といった被害を引き起こします。

マルウェアの代表例は、ほかのプログラムに寄生して増殖する「ウイルス」、データを暗号化し復元と引き換えに金銭を要求する「ランサムウェア」、正規のソフトを装って侵入する「トロイの木馬」などです。マルウェアと一口にいっても、種類ごとに侵入の手口や被害の内容が異なります。

マルウェアとウイルスの違い

マルウェアは悪意のあるソフトウェア全体を指す総称であり、ウイルスはその中のひとつです。

ウイルスの特徴は、単体では動作せず、ほかのプログラムやファイルに寄生する点にあります。利用者が感染したファイルを開くなどの操作をきっかけに活動を始め、自己増殖しながら感染を広げていきます。

一方で、マルウェアはウイルスだけではありません。単独で自己増殖する「ワーム」、正規のソフトを装って侵入する「トロイの木馬」、情報を密かに収集する「スパイウェア」、データを暗号化し復元と引き換えに金銭を要求する「ランサムウェア」など、多くの種類が存在します。

そのため、不正プログラムによる被害をすべて「ウイルス」と呼ぶのは厳密には正確ではありません。ウイルスはあくまでマルウェアの一種であり、両者は「全体と部分」の関係にあると理解しておくとよいでしょう。

マルウェアとランサムウェアの違い

ランサムウェアもマルウェアの一種です。データの暗号化や製品のロックによってファイルやシステムを使えない状態にし、復元と引き換えに金銭や暗号資産を要求する点が特徴です。

たとえば、突然パソコン上のファイルが開けなくなる、「ビットコインを支払え」といった警告画面が表示される、支払わなければ盗んだデータを公開すると脅される、といった被害が実際に報告されています。

近年は、データの暗号化に加えて窃取した情報の公開をちらつかせる「二重恐喝」の手口も多く確認されており、被害が深刻化しています。

ウイルスがマルウェアの一種であるのと同様に、ランサムウェアもマルウェアという大きな分類の中のひとつに位置付けられるものです。

マルウェアの種類

マルウェアには、ウイルスやランサムウェア以外にもさまざまな種類があります。代表的なものは以下のとおりです。

・ワーム
・スケアウェア
・スパイウェア
・トロイの木馬
・アドウェア
・ボット
・キーロガー
・ファイルレスマルウェア
・バックドア

次項より、それぞれの特徴を解説します。

ワーム

ワームは、ほかのファイルに寄生せず単体で動作し、自己増殖しながら感染を広げていくマルウェアです。ウイルスが宿主となるプログラムを必要とするのに対し、ワームは独立して活動できるため、利用者の操作を介さずにネットワークを通じて次々と拡大していきます。

感染力が強く、1台の製品から短時間で多数の製品へ被害が広がるおそれがあります。過去には、1通のメールの添付ファイルからネットワーク上の脆弱性を悪用して世界規模で感染が拡大した事例もあり、被害の速度と範囲の大きさがワームの特徴です。

スケアウェア

スケアウェアは、偽の警告画面を表示して利用者の不安を煽るマルウェアです。

たとえば、Webサイトの閲覧中に「ウイルスに感染しました」「今すぐ対処が必要です」といった警告が突然表示され、解決策と称して偽のセキュリティソフトの購入ページや不正なアプリのインストール画面に誘導します。

そのまま指示に従ってしまうと、金銭をだまし取られたり、個人情報を入力させられたりするなどの被害につながります。

実際にはマルウェアに感染していないケースも多いため、身に覚えのない警告が表示された場合は、画面の指示に従わず、冷静に対処することが重要です。

スパイウェア

スパイウェアは、利用者に気付かれないようにバックグラウンドで動作し、情報を密かに盗み取るマルウェアです。

キーボードからの入力内容、Webサイトの閲覧履歴、保存されたID・パスワードなどを収集し、外部の攻撃者へ送信します。製品の動作に目立った異常が出にくいため、感染に気付かないまま長期間にわたって情報が流出し続けるおそれがあります。

クレジットカード情報や銀行口座の認証情報が盗まれた場合、金銭的な被害に直結する点でも注意が必要です。

トロイの木馬

トロイの木馬は、正規のソフトや便利なファイルを装い、利用者自身に実行させることで製品に侵入するマルウェアです。

ウイルスやワームとは異なり自己増殖する機能を持ちませんが、無害なアプリやファイルに見せかけることでインストールを促し、実行後にバックグラウンドで不正な動作を開始します。利用者が異変に気付きにくい点が特徴です。

侵入後に引き起こす被害は多岐にわたり、個人情報やパスワードの窃取、製品の遠隔操作、攻撃者が後から不正アクセスするためのバックドアの設置などがあります。

ひとつのトロイの木馬をきっかけに、別のマルウェアへの二次感染につながるケースもあるなど、被害が連鎖しやすい点にも注意しましょう。

バックドアについて詳しくは「バックドア」で紹介しています。

アドウェア

アドウェアは、利用者の意図に反して不要な広告を大量に表示するマルウェアです。

フリーソフトをインストールした際に、本来の目的とは無関係なアドウェアが一緒に組み込まれるケースが多く見られます。広告が頻繁にポップアップするだけでも操作の妨げになりますが、被害はそれだけにとどまりません。

悪質なアドウェアの中には、利用者の閲覧履歴や行動データを収集して外部に送信したり、広告をクリックさせることで不審なサイトに誘導したりするものもあります。

無料ソフトやアプリを導入する際は、インストール時の画面に「おすすめソフトを追加する」「ツールバーをインストールする」「検索エンジンを変更する」「広告配信を許可する」といった項目がないか確認しましょう。

不要な追加ソフトの同時インストールに同意するチェックが入っている場合は、チェックを外すか、インストールを見送ることが重要です。

ボット

ボットは、感染した製品を攻撃者が外部から遠隔操作できるようにするマルウェアです。

感染した製品が複数台まとめて操られると「ボットネット」と呼ばれるネットワークが形成されます。

攻撃者はこのボットネットを利用し、迷惑メールの大量送信(スパム送信)や、複数の製品から標的のサーバーに大量のデータを送りつけてサービスを停止させるDDoS(ディードス)攻撃などの踏み台として悪用します。

感染した製品の利用者は、自分の製品が攻撃に加担していることに気付きにくいため、知らないうちに被害者から加害者になってしまうおそれがある点も、ボットの厄介な特徴です。

なお、「ボット」という用語自体は、「ロボット」の略として、自律的に動作するプログラム一般を指して使われることもあります。X(旧:Twitter)などのSNSで見かける自動投稿アカウントも、この意味でボットと呼ばれるものです。

そのため、ボットと呼ばれるもののすべてが、悪意を持って作られているわけではありません。

スパムについて詳しくは、こちらをご確認ください。

キーロガー

キーロガーは、キーボードの入力内容を記録するマルウェアです。

利用者がキーボードで入力したログインID、パスワード、クレジットカード番号などの情報を密かに記録し、攻撃者に送信します。

製品の動作や画面表示に目立った変化が現れにくいため、感染していること自体に気付かないまま重要な認証情報が流出し続けるおそれがあります。

なお、キーロガーという仕組み自体はソフトウェア開発時の不具合確認や動作検証などに使われる正規のツールです。しかし、悪意を持って仕掛けられた場合にはスパイウェアの一種として深刻な被害をもたらします。

ファイルレスマルウェア

ファイルレスマルウェアは、実行ファイルを製品に保存せず、OSに標準搭載された正規の機能やツールを悪用して動作するマルウェアです。

通常のマルウェアは不正なファイルとして製品内に保存されるため、セキュリティソフトのスキャンで検知できる可能性があります。

一方、ファイルレスマルウェアはメモリ上で動作し、正規のシステムツールを経由して不正な処理を実行するため、従来型のファイルスキャンでは発見しにくいという特徴があります。

ファイルを保存しないだけに痕跡が残りにくく、感染後の解析や原因特定も困難になりやすい点が、ほかのマルウェアとの大きな違いです。

バックドア

バックドアは、攻撃者が後から不正アクセスできるように、製品やシステムに裏口を設置するマルウェアです。

たとえば、トロイの木馬が正規のソフトを装って侵入した後にバックドアを仕込むケースがあります。一度設置されると、IDやパスワードによる認証を回避して繰り返し侵入可能な状態になるため、攻撃者は長期間にわたって製品を自由に操作できるようになります。

バックドアを通じて情報の窃取や追加のマルウェアの送り込みが行われることもあり、利用者が気付かないまま被害が拡大し続ける点が大きなリスクです。

マルウェアの除去後もバックドアが残っていれば再び侵入されるおそれがあります。

セキュリティソフトでスキャンし、不審なアプリや遠隔操作設定、見覚えのないアカウントがないか確認しましょう。自分で判断できない場合は、専門業者やシステム管理者への相談が必要です。

マルウェアの感染経路

マルウェアは、日常的な操作がきっかけで感染するケースが少なくありません。代表的な感染経路は、以下のとおりです。

・メール・SMSの添付ファイルや本文内のURL
・Webサイト
・ソフトウェアやアプリ
・USBメモリなどの外部記憶媒体
・脆弱性を悪用した侵入
・フィッシング攻撃

それぞれの仕組みを解説します。

メール・SMSの添付ファイルや本文内のURL

不審なメールやSMSに添付されたファイルを開いたり、本文内のURLをクリックしたりすることで、マルウェアに感染する可能性があります。

添付ファイルにはOfficeファイルやPDFなどが使われることがあり、開封をきっかけにファイル内部に仕込まれた不正なプログラムが実行される仕組みです。

本文中のURLも同様に、クリックすると不正なサイトへ誘導され、マルウェアがダウンロードされるおそれがあります。

こうしたメールやSMSは、企業や配送会社などを装った自然な文面で作られているケースが多く、件名や差出人だけでは本物との見分けがつきにくいです。

また、ファイル形式を偽装する場合もあるので、特定のファイル形式だけを注意すればよいわけではありません。「心当たりのない添付ファイルやURLは開かない」という意識が、基本的な防御策になります。

Webサイト

不正なWebサイトにアクセスしたことをきっかけに、マルウェアに感染するケースがあります。

Webサイト上のリンクやボタンをクリックする、ファイルをダウンロードするといった操作が感染のきっかけになるほか、ページを閲覧しただけでマルウェアが自動的にダウンロードされる手口も存在します。

厄介なのは、見た目が普通のWebサイトであっても、内部に悪意のある仕組みが埋め込まれている場合がある点です。

実在する正規のWebサイトが第三者によって改ざんされ、閲覧した利用者が気付かないうちに感染してしまう事例もあります。

検索結果や広告から不正なWebサイトへ誘導されるパターンもあるため、アクセス先のURLに不審な点がないかを意識しておくことが大切です。

たとえば、公式サイトに似せた紛らわしいドメイン名、不自然な文字列、見慣れない末尾のドメイン、企業名やサービス名のつづり間違いなどないか確認しましょう。

ソフトウェアやアプリ

不正なソフトウェアやアプリの中にマルウェアが埋め込まれており、インストールをきっかけに感染するケースがあります。

無料のセキュリティソフトや、スマホの動作を軽くするとうたうアプリ、ファイル整理アプリなどを装って配布されることがあり、見た目や説明文だけでは危険性を判断しにくい点が特徴です。

本来の機能とは無関係に、連絡先情報や位置情報といった個人データへのアクセスを求めてくるソフトには注意が必要です。

特に、公式ストア以外の非公式な配布サイトや出所が不明なダウンロード元から入手したソフトは、感染リスクが高くなります。

ソフトウェアやアプリを導入する際は、提供元の信頼性や利用者のレビューを確認し、公式の配布元から入手することが基本的な対策です。

USBメモリなどの外部記憶媒体

マルウェアが仕込まれたUSBメモリや外付け記憶媒体を製品に接続することで感染するケースです。

設定や脆弱性、またはファイルを開くなどの操作をきっかけに、USBメモリ内の不正プログラムが実行され、利用者が操作しなくても感染します。

感染した製品に別のUSBメモリを接続すると、そのUSBメモリにもマルウェアが書き込まれ、次に接続した製品へと被害が連鎖していく点も特徴的です。

個人利用はもちろん、社内でファイルを受け渡す場面でも感染拡大のきっかけになり得ます。出所が不明なUSBメモリは利用しない、自動実行の設定を無効にしておくといった対策が重要です。

脆弱性を悪用した侵入

OSやソフトウェア、ネットワーク機器に存在する脆弱性を突かれ、利用者が気付かないうちにマルウェアに感染するケースです。

脆弱性とは、システムやソフトウェアの設計・実装上の弱点のことで、攻撃者はその弱点を入口として不正侵入を試みます。

メールを開く、ファイルをダウンロードするといった利用者側の操作を必要としない場合もあり、更新プログラムの適用が遅れているスマホなどは標的になりやすい傾向です。

企業ではVPN装置やインターネット経由でほかの製品を遠隔操作できるリモートデスクトップサービスが侵入口として悪用される事例が少なくありません。

警察庁の発表でも、ランサムウェア被害の感染経路としてVPN装置やリモートデスクトップ経由の侵入が大半を占めており、パソコンやスマホ、タブレットだけでなく、ネットワーク機器の脆弱性対策も欠かせません※。

VPNについて詳しくは、こちらをご確認ください。
※出典:警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

フィッシング攻撃

フィッシング攻撃は、実在する企業やサービスを装った偽サイトへ利用者を誘導し、情報をだまし取る手口です。

主な目的は、IDやパスワード、クレジットカード番号などを偽サイト上で入力させて不正に取得することですが、誘導先のページからマルウェアをダウンロードさせるケースもあり、マルウェアの感染経路のひとつにもなっています。

誘導の手段にはメールのほか、SMS(ショートメッセージ)やSNSのメッセージなどが多く使われます。送信元の表示名やサイトのデザインが本物に酷似しているため、一見しただけでは偽物と見分けにくい点が特徴です。

「アカウントが停止されます」「本人確認が必要です」など、緊急性を煽る文面で操作を急がせる手口が多いため、こうしたメッセージを受け取った際は、記載されたリンクを直接開かず、公式Webサイトやアプリから確認することが重要です。

マルウェアに感染した場合の主な症状

マルウェアに感染すると、製品やシステムに普段とは異なる不審な変化が現れることがあります。代表的な症状は以下のとおりです。

・パソコンやスマホの動作が急に遅くなる
・製品が起動しにくくなる、または起動しなくなる
・勝手に再起動やシャットダウンを繰り返す
・操作していないのにアプリが起動する、メールやSNSが送信されるなど、身に覚えのない挙動が増える
・不自然な現象が起きる(データ通信量の増加、バッテリー消費量の増加、発熱など)

動作が遅くなるのは、マルウェアがバックグラウンドで不正な処理を実行し、CPUやメモリを消費しているためです。

また、身に覚えのない通信や操作は、攻撃者による遠隔操作や外部への情報送信が行われているおそれがあります。

ただし、これらの症状はハードウェアの故障やソフトウェアの不具合でも起こり得るため、マルウェア感染と断定はできません。

複数の症状が同時に現れている、あるいは心当たりのない挙動が続いている場合は、感染を疑って早めに対処することが重要です。

対処法については「マルウェアに感染した場合の対処法」で紹介しています。

マルウェアに感染した場合の被害

代表的な被害事例のひとつが、Emotet(エモテット)と呼ばれるマルウェアによるものです※1。

Emotetは主にメールの添付ファイルを感染経路とし、感染するとメールソフトやWebブラウザに保存されたパスワード、過去に送受信したメールの本文やアドレス帳の情報を窃取します。

さらに、Webブラウザにクレジットカード情報を保存していた場合、その情報まで盗まれるおそれがあります。

被害はそれだけにとどまりません。窃取した情報を悪用し、実在する取引先や同僚を装った感染拡大メールが自動的に送信されるほか、ランサムウェアなどほかのマルウェアへの二次感染を引き起こすケースも確認されています。

特に、マルウェアの中でも被害が深刻なのが、金銭を目的としたランサムウェアです。 2024年中のランサムウェア被害の報告件数は222件にのぼり、対価の要求が確認された134件のうち111件(82.8%)が二重恐喝の手口でした※2。

二重恐喝とは、データを暗号化して金銭を要求するだけでなく、盗んだデータを公開すると脅し、二重に金銭を要求する手口です。

感染経路ではVPN装置経由が55.0%、リモートデスクトップサービス経由が31.0%と、テレワーク関連製品の弱点を突かれる傾向です。

VPNについて詳しくは、こちらをご確認ください。
※1 出典:警察庁「マルウェアEmotetに係る注意喚起について」
※2 出典:警察庁「第3章 サイバー空間の安全の確保」

マルウェアに感染した場合の対処法

マルウェアに感染したと思われる症状が続く場合は、被害を最小限に抑えるために迅速な対処が必要です。代表的な対処法は以下のとおりです。

・感染が疑われる製品をネットワークから切り離す
・感染の有無や範囲を確認する
・セキュリティソフトでウイルスを除去する
・偽警告や不審な要求に応じない
・ID・パスワードを変更する
・警察や専門窓口、社内担当部署に相談する

それぞれの対処法を解説します。

感染が疑われる製品をネットワークから切り離す

マルウェアへの感染が疑われる場合、最初にすべきことは製品をネットワークから切り離すことです。LANケーブルを抜く、Wi-Fi®接続をオフにするなどして、外部や社内ネットワークとの通信を速やかに遮断しましょう。

ネットワークに接続されたままだと、製品内の情報が外部へ送信され続けたり、同じネットワーク上のほかの製品に感染が広がったり、攻撃者による遠隔操作が継続したりするおそれがあります。通信を遮断することで、これらのリスクを抑えやすくなります。

ただし、感染原因の調査に必要なログが消失するおそれがあるため、製品の電源は落とさずにネットワークだけを切り離す点がポイントです。

感染の有無や範囲を確認する

製品をネットワークから切り離したら、不審な症状がいつから出ているのか、どの製品やアカウントで異常が起きているのかを、わかる範囲で整理しましょう。

たとえば、「急に動作が重くなった」「見覚えのないアプリが入っている」「勝手に広告が表示される」「ログイン通知が届いた」など、気付いた症状をメモしておくと、サポート窓口や専門業者に相談する際に役立ちます。

また、同じWi-Fiや社内ネットワークにつながっているほかの製品にも影響している可能性があります。自分で判断が難しい場合は、無理に操作を続けず、システム管理者や専門業者に相談しましょう。

セキュリティソフトでマルウェアを除去する

感染が疑われる状況を整理したら、自分で対応できる範囲として、セキュリティソフトでフルスキャンを実行し、不正なプログラムが検知されるかどうかを確認します。

マルウェアが検知された場合は、ソフトの案内に従って隔離や削除などの除去を行います。

ただし、セキュリティソフトですべてのマルウェアを検知・除去できるとは限りません。新しい手口や検知を回避する仕組みを持つマルウェアは、スキャンをすり抜けることがあるためです。

また、マルウェア自体を除去できたとしても、侵入の原因となった脆弱性や不正な設定が残っていれば、再び感染するおそれがあります。

そのため、除去後はセキュリティソフトが最新の状態になっているかを確認し、OSやソフトウェアのアップデート状況、パスワードの安全性なども見直しておくことが重要です。

業務用端末や重要なデータが入っている製品や感染範囲がわからない場合は、無理に自分で対処せず、システム管理者や専門業者に相談しましょう。

偽警告や不審な要求に応じない

「ウイルスに感染しました」「今すぐ対処が必要です」といった警告が突然表示された場合でも、慌てて画面の指示に従わないことが重要です。

こうした警告には、マルウェア感染を装って利用者の不安を煽り、画面に表示された電話番号への連絡や金銭の支払い、不正なソフトウェアのインストールへ誘導する「サポート詐欺」と呼ばれる手口が潜んでいる可能性もあります。

偽のセキュリティ警告が表示されただけであれば、実際にはマルウェアに感染していないケースも少なくありません。

そのため、表示された電話番号に連絡する、料金を支払う、案内されたソフトをインストールするといった行動は避けましょう。まずはブラウザを閉じるか、製品を再起動して画面を消すようにします。

それでも不安が残る場合は、自分で公式のセキュリティソフトを使ってスキャンを行うか、IPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」、消費者ホットライン(188)、警察相談専用電話(#9110)などの公的な相談窓口に問い合わせるのが安全です。

ID・パスワードを変更する

マルウェアに感染すると、製品やブラウザに保存されていたID・パスワードが盗まれている可能性があります。除去が完了した後も、窃取された認証情報が悪用されるリスクは残るため、速やかにパスワードの変更を行う必要があります。

特に優先して見直したいのは、メールアカウント、業務システム、クラウドサービス、ネットバンキングなど、重要度の高いアカウントです。メールアカウントはほかサービスのパスワードリセットにも悪用されるため、最優先で変更することをおすすめします。

変更の際は、感染が疑われるものとは別の安全な製品から操作を行い、以前と同じパスワードや推測されやすい文字列は避けるようにしてください。

警察や専門窓口、社内担当部署に相談する

被害が大きい場合や、自力での判断が難しい場合は、早めに外部の専門機関や社内の担当部署に相談することが重要です。

企業の場合、独断で製品を操作し続けると、調査に必要なログや証拠が失われるおそれがあります。

まずは社内ルールに沿って情報システム担当やセキュリティ担当へ報告し、指示を仰ぐようにしましょう。報告は、感染製品でのメールやチャットを避け、電話や対面で行うのが安全です。

外部の相談先としては、警察庁のサイバー事案に関する相談窓口、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口、JPCERT/CC(一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター)などがあります。

JPCERT/CCでは、マルウェア感染時の除去や復旧に関する相談も受け付けています。

相談の際は、不審な症状の内容、異常が出始めた時期、表示された画面のスクリーンショット、受信した不審なメール、影響がおよんでいる範囲などを整理して伝えると、状況の把握と対応がスムーズに進みます。

マルウェアに感染しないための予防方法

マルウェアの被害を防ぐには、日頃からの予防が欠かせません。代表的な予防方法は以下のとおりです。

・OSやソフトウェアを最新の状態に保つ
・セキュリティソフトを導入して最新の状態で利用する
・不審なメール・SMSの添付ファイルやURLを安易に開かない
・マクロや不審な警告を安易に有効化しない
・ID・パスワードを適切に管理する
・セキュリティ意識を高める

それぞれのポイントを順番に解説します。

OSやソフトウェアを最新の状態に保つ

マルウェアは、OSやソフトウェアの脆弱性を悪用して侵入することがあるため、更新プログラムが提供されたら速やかにアップデートし、常に最新の状態を保つことが重要です。

また、更新が必要なのはOSだけではありません。Webブラウザ、メールソフト、Officeソフト、業務アプリなど、日常的に利用するソフト全般が対象です。

更新プログラムには新機能の追加だけでなく、発見された脆弱性への対策が含まれている場合が多いため、後回しにせずアップデートする習慣をつけておくことが大切です。

Android™のアップデートについて詳しくは、こちらをご確認ください。
iPhoneのアップデートについて詳しくは、こちらをご確認ください。
アプリのアップデートについて詳しくは、こちらをご確認ください。

セキュリティソフトを導入して最新の状態で利用する

セキュリティソフトの導入は、不正なプログラムや危険な動作を検知・隔離するための基本的な対策です。セキュリティソフトは、メールの添付ファイル、ダウンロードしたファイル、Web閲覧時の不審な挙動などを自動的に監視し、マルウェアによる深刻な被害を未然に防ぐ役割を果たします。

ただし、セキュリティソフトを導入するだけでは十分ではありません。

マルウェアは日々新しいものが生まれているため、マルウェアを識別するためのデータベースである定義ファイルや検知機能を常に最新の状態に保つ必要があります。セキュリティソフトの自動更新の設定を有効にしておくと、更新の適用忘れを防ぎやすくなります。

また、ウイルス対策だけでなく、危険なWebサイトへのアクセス警告や不審なWi-Fiの検知などをまとめて利用できるセキュリティサービスもあります。たとえば、楽天モバイルの「最強保護」サービスでは、複数のセキュリティ機能を一括で利用できます。

なお、セキュリティソフトですべてのマルウェアを防げるわけではないため、ほかの予防方法と併せて活用することが大切です。

楽天モバイルのオプション一覧について詳しくは、こちらをご確認ください。

不審なメール・SMSの添付ファイルやURLを安易に開かない

メールやSMSはマルウェアの代表的な感染経路のひとつです。添付ファイルの開封や本文中のURLのクリックをきっかけに感染するため、心当たりのないメールやSMSには慎重に対応する必要があります。

企業や配送会社などを装ったものであっても、送信元の表示名や文面が本物そっくりに作られているケースは珍しくありません。

件名や本文に違和感がなくても、添付ファイルやリンク先が不正である可能性があるため、見た目だけで安全と判断しないことが大切です。

さらに、日常的にやり取りをしている相手からのメールやSMSでも、書き方や文面が普段と大きく違うときは注意しましょう。相手の機器がマルウェアの被害を受けていて、それが自分に拡大している可能性もあります。

具体的には、「身に覚えのない添付ファイルは開かない」「メールやSMS内のURLは直接クリックせず、公式Webサイトやブックマークからアクセスする」「少しでも不審に感じたら送信者に別の手段で確認を取る」といった習慣が、感染リスクの低減につながります。

マクロや不審な警告を安易に有効化しない

Officeファイルなどを開いた際に「コンテンツを有効化してください」「編集を有効にしてください」といった表示が出ることがありますが、安易に有効化すると、ファイル内に仕込まれた不正なプログラムが実行され、マルウェアに感染するおそれがあります。

送信元に心当たりがない場合や、ファイルの内容に不自然な点がある場合は、マクロを有効化せずにファイルを閉じましょう。なお、不審なファイルをダウンロードしたり、閲覧したりしないことも大切です。

また、Webサイトの閲覧中に「ウイルスに感染しました」などの警告画面が突然表示され、不正なソフトのインストールや電話連絡へ誘導する手口もあります。

こうした表示が出た場合も、画面の指示に従って操作を進めず、ブラウザを閉じるなどして冷静に対処することが重要です。

ID・パスワードを適切に管理する

IDやパスワードが盗まれると、不正ログインや情報漏えいといった二次被害につながるおそれがあります。マルウェアへの感染を防ぐだけでなく、万が一感染した場合の被害を最小限に抑えるためにも、認証情報の適切な管理が重要です。

基本的な対策として、同じパスワードを複数のサービスで使い回さないこと、英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた推測されにくい文字列を設定することが挙げられます。

より強固な認証手段として、近年注目されているのが「パスキー」です。

パスキーは、パスワードの代わりに顔認証や指紋認証などの生体情報を使ってログインする仕組みで、パスワードそのものを持たないためフィッシング詐欺や不正ログインへの耐性が高いとされています。

主要なWebサービスやスマホのOSでも対応が進んでおり、設定しておくことでより安全にアカウントを守ることができます。

メールアカウントやクラウドサービス、業務システム、ネットバンキングなど、重要度の高いアカウントほど厳重な管理が必要です。

パスワードの数が多く管理が難しい場合は、パスワード管理ツールの活用も有効な手段のひとつです。

たとえば、Androidでは「Google パスワード マネージャー」、iPhoneではAppleの「パスワード」アプリなど、OSやスマホに標準搭載されている機能を活用する方法もあります。

セキュリティ意識を高める

マルウェア対策では、セキュリティソフトやOSの更新といった技術的な対策に加え、利用者自身が怪しい兆候に気付ける意識を持つことも重要です。

個人の場合は、「知らない送信元からのメールはすぐに開かない」「不審な警告画面が表示されたら慌てて操作しない」といった基本的な心がけを日常的に意識するだけでも、感染リスクを大きく下げられます。

企業の場合は、不審なメールやファイルを受け取ったときの報告手順や対応方法を社内で共有しておくことが有効です。

従業員側も、会社で実施されるセキュリティ研修や、不審なメールを見分けるための訓練などをきちんと受け、怪しいメールやファイルを見つけたときは社内ルールに従って報告しましょう。

定期的にセキュリティに関する注意喚起や研修を実施し、従業員ひとりひとりの判断力を高めておくことで、技術的な対策だけではカバーしきれない「人の判断ミス」による感染を防ぎやすくなります。

マルウェアに関するよくある質問

次項より、マルウェアに関するよくある質問に回答します。

マルウェアはスマホにも感染する?

マルウェアの感染対象はパソコンだけではなく、スマホやタブレットも含まれます。

スマホの場合、公式ストア以外の配布サイトから入手したアプリにマルウェアが仕込まれていたり、不審なSMSやメッセージ内のリンクをタップしたことをきっかけに感染したりするケースがあります。

また、正規のアプリを装った不正アプリが公式ストア上で配布されていた事例も報告されており、公式ストアであっても完全に安全とはいえません。

スマホでもパソコンと同様に、OSやアプリを最新の状態に保つ、提供元が不明なアプリをインストールしない、不審なリンクを安易にタップしないといった基本的な対策が重要です。

スマホのウイルスについて詳しくは、こちらをご確認ください。

セキュリティソフトをインストールしていればマルウェア感染は防げる?

マルウェア対策としてセキュリティソフトは有効な手段のひとつですが、ソフトをインストールしているだけで感染を100%防げるわけではありません。

新しい手口のマルウェアや、ファイルを使わずにメモリ上で動作するファイルレスマルウェアなど、従来の検知方法ではすり抜けてしまうものも存在します。そのため、セキュリティソフトの導入・更新に加え、日頃の操作にも注意を払うことが大切です。

具体的には、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つ、不審なメールやSMSの添付ファイルやURLを安易に開かない、ID・パスワードを適切に管理するなど、複数の対策を組み合わせることで感染リスクを総合的に下げられます。

セキュリティソフトは「対策の柱のひとつ」として位置付け、ほかの予防方法と併用する意識が重要です。

スマホのセキュリティソフトについて詳しくは、こちらをご確認ください。

マルウェアに感染したら初期化すれば解決する?

製品の初期化はマルウェアの除去手段として有効なケースがありますが、それだけで問題が解決するとは限りません。

初期化を行うと製品内のマルウェアは除去できますが、すでに外部へ送信された情報は取り戻せません。ID・パスワードの流出やクレジットカード情報の窃取が疑われる場合は、初期化後であっても認証情報の変更や利用明細の確認が必要です。

また、初期化によって感染原因の調査に必要なログや証拠が失われるおそれがあるため、可能であれば専門家や相談窓口に連絡してから初期化を行うのが望ましいでしょう。

初期化する場合は、以下の点を確認してから対応しましょう。

・初期化前に警察や専門窓口、社内担当部署へ相談する
・自己判断でむやみにバックアップを取らない
・初期化後は感染していない製品からID・パスワードを変更する
・クレジットカードや銀行口座の利用明細に不審な点がないか確認する

初期化はあくまで対処法のひとつであり、被害の全体像を把握し、ほかの対応と併せて実施することが大切です。

iPhoneの初期化について詳しくは、こちらをご確認ください。
Androidの初期化について詳しくは、こちらをご確認ください。

マルウェアの種類や感染経路を把握して、適切に対処することが重要

マルウェアは、悪意のあるソフトウェアの総称であり、ウイルスやランサムウェア、ワーム、スパイウェアなどさまざまな種類があります。

メールやSMSの添付ファイルやURL、Webサイト、不正なアプリなど、身近な経路から感染するため、日常的な操作だけでも被害に遭うおそれがあります。

感染すると、製品の動作が遅くなる、勝手に再起動するといった症状が現れるほか、個人情報や認証情報の流出、ほかの製品への感染拡大など、深刻な被害につながりかねません。

感染が疑われる場合は、まず製品をネットワークから切り離し、不審な症状や影響がありそうなアカウントをわかる範囲で整理したうえで、セキュリティソフトでのスキャンやパスワード変更、専門窓口への相談を行うことが大切です。

日頃の予防としては、OSやソフトウェアを最新の状態に保つ、セキュリティソフトを活用する、不審なメールや警告に安易に反応しないといった対策を徹底する必要があります。

パソコンだけでなく、スマホやタブレットも感染対象となるため、すべての製品でセキュリティ対策を意識しておきましょう。

ただし、スマホが古いと最新のOSへアップデートできなかったり、セキュリティ対策アプリに対応していなかったりする場合があります。古いスマホを使い続けている人は、セキュリティを確保するためにも買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。

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