6Gはいつから実用化される?背景・実現されること・応用例などをわかりやすく紹介

6G(Beyond 5G:ビヨンドファイブジー)は、5Gの次世代にあたる移動通信規格(電波を使ってデータ通信を行う仕組み)です。2030年ごろの実用化を目指して研究開発が進められています。
6Gが実現されれば、5Gと比較してさらに高速な通信を利用できるほか、5Gでは難しかった応用も期待されています。
今回は、6Gがいつから実用化されるのかの目安や、6Gの特徴・応用例を紹介します。
6Gはいつから実用化される?
6G(Beyond 5G)は、現在広く利用されている5Gの次世代にあたる移動通信規格(電波を使ってデータ通信を行う仕組み)です。
6Gでは、5Gの特長である超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続の進化に加えて、超低消費電力化や信頼性、自律性、拡張性などの実現が期待されています。
6Gは、2030年ごろの実用化を目指して、通信事業者や研究機関などによって研究開発が進められています。日本では、総務省が2030年ごろの6Gの導入を見据えた「Beyond 5G推進戦略」を策定しています。
また、国際的にも、通信分野の国連専門機関であるITU(国際電気通信連合)は、6Gの国際的な名称を「IMT-2030」と定め、2030年ごろの実現を想定した規格の枠組みを2023年にまとめています。
6Gの通信が求められる背景は?
6Gの通信が求められる主な背景として、以下のような点が挙げられます。
・データ量の増大が見込まれるため
・新たな領域への応用が期待されているため
・持続可能な社会の実現に向けて超低消費電力化が必要なため
通信需要の拡大や社会的な要請に応えるために、6Gの研究開発が進められています。以下でそれぞれの背景を詳しく見ていきましょう。
データ量の増大が見込まれるため
近年は、スマホ利用に加えて家電やセンサーなどさまざまなものがインターネットにつながるIoTの普及が進み、やり取りされるデータ量が年々増えています。
今後はAIの活用拡大などによって通信量がさらに増大することも見込まれており、それを支えられる通信インフラが必要とされています。
新たな領域への応用が期待されているため
VR(ゴーグルなどを装着して体験する仮想現実)やAR(現実の風景にCGなどを重ね合わせる拡張現実)による仮想空間での体験や遠隔医療、ロボットの遠隔操作といった新たな用途では、大量のデータを遅延なくやり取りすることが求められています。
こうした新たな用途への応用を広げていくためには、より高速・大容量で低遅延な通信環境が必要です。
持続可能な社会の実現に向けて超低消費電力化が必要なため
通信量の増加に伴い、ネットワークや機器の消費電力の増大も懸念されています。
総務省の資料では、低消費電力化の技術開発が進まない場合、2030年にはIT関連機器の消費電力が2016年の約36倍に達するという予測が示されており、電力を抑えながら大量の通信を処理できる技術が求められています。
6Gまでの通信規格の進化の流れ

移動通信システムは、6Gにいたるまでに1Gから世代を重ねながら進化してきました。ここでは、1Gから5Gまでの通信規格の特徴と進化の流れを紹介します。
※出典:総務省「令和2年版情報通信白書(移動通信システムの進化とその影響)」
1G(第1世代移動通信システム)
1Gは、アナログ方式(音声をそのまま電波信号に変える)で音声を伝える、通話が中心の移動通信システムです。日本では1979年に日本電信電話公社(現在のNTT)が、民間向けとして世界初のセルラー方式(基地局を細かく配置して広範囲で通話する仕組み)の自動車電話サービスを開始しました。
1985年には肩にかけて外へ持ち出せる「ショルダーホン」が登場し、1987年には小型化・軽量化した「携帯電話」のサービスもはじまっています。
2G(第2世代移動通信システム)
2Gは、通信方式がアナログからデジタルへ切り替わった移動通信システムで、日本では1993年にサービスが開始されました。
デジタル化に伴ってパケット通信(データを「パケット」という小さな塊にわけて送受信する仕組み)が取り入れられ、音声通話だけでなくデータのやり取りにも本格的に対応しました。これにより、携帯電話からインターネットに接続できるサービスも登場しています。
3G(第3世代移動通信システム)
3Gは、携帯電話を世界中で利用できるようにすることを目標に、規格の国際的な標準化が図られた移動通信システムです。日本では2001年にサービスが開始されました。
3Gが登場した前後の時期には、カメラやアプリ、音楽再生といった通話以外の機能が次々と加わり、携帯電話はさまざまな用途に使える多機能な製品へと進化しました。
4G(第4世代移動通信システム)
4Gは、携帯電話からスマホへと利用の中心が移り変わる時期に登場した移動通信システムです。
3Gまでは国や事業者ごとに通信規格がわかれていましたが、4GではLTE(3Gから4Gへスムーズに移行するために作られた高速通信の規格)と呼ばれる規格が、世界共通の規格として採用されました。
日本では、2010年にNTTドコモが、2012年にauとソフトバンクが商用サービスを開始しています。楽天モバイルでは、2020年4月に携帯キャリアとして本格的なサービスを開始しました。
5G(第5世代移動通信システム)
5Gは、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続という特長を持つ通信規格です。日本では、2020年3月にNTTドコモ、au、ソフトバンクで、同年9月には楽天モバイルで5Gサービスが開始されました。
5Gは、スマホでの通信だけでなく、自動運転や遠隔医療、スマートホームなど幅広い用途への応用が進められています。
6Gでなにが実現される?

6Gで実現が期待されている主な機能は、以下のとおりです。
|
機能 |
期待されている内容 |
|---|---|
|
超高速・大容量 |
アクセス通信速度(製品側の通信速度)が5Gの約10倍、コア通信速度(通信網の中核部分での通信速度)が現在の約100倍になる |
|
超低遅延 |
通信の遅延が5Gの約1/10になる |
|
超多数同時接続 |
同時に接続できる機器の数が5Gの約10倍になる |
|
超低消費電力 |
消費電力が現在の約1/100に抑えられる |
|
超安全・信頼性 |
セキュリティやプライバシーが常に確保され、災害や障害が起きてもすぐに復旧できる |
|
自律性 |
AIなどを活用して人の手を介さずに機器同士が自律的に連携し、最適なネットワークを構築する |
|
拡張性 |
衛星などとの接続や、製品・窓などの基地局化により、海・空・宇宙なども含めて通信エリアを広げる |
6Gでは、5Gの特長の高度化に加えて、超低消費電力、超安全・信頼性、自律性、拡張性といった新たな機能の実現が期待されています。
6Gはどんなところに使われる?

6Gの活用が期待されている主なシーンは、以下のとおりです。
|
活用シーン |
概要 |
|---|---|
|
自動運転 |
車や周辺環境のデータをリアルタイムでやり取りし、より安全な運転につなげる |
|
スマートシティ |
センサーや機器を多数接続し、都市・交通・防災・設備などのデータを収集・活用する |
|
IoT |
接続できる機器の数が増えることで、より多くのIoT機器を同時に使えるようになる |
|
遠隔医療 |
より低遅延で信頼性の高い離れた場所からの診療や、手術用ロボットの精密な遠隔操作が可能になる |
|
工場・産業 |
多数の機器やロボットを高い信頼性で接続し、産業機器の遠隔操作や工場の自動化が進められる |
|
VR/AR |
高精細なメタバース(仮想空間)や、五感を伴う体験などを実現する |
|
海・空・宇宙への通信エリアの拡張 |
これまでの移動通信システムではカバーしきれなかった場所でも通信できるようになる |
6Gの特長を活かすことで、スマホでの通信が快適になるだけでなく、生活や産業のさまざまなシーンでの活用が期待されています。
6Gを実現するための課題は?
さまざまな活用が期待されている6Gですが、実現に向けては解決すべき課題もあります。ここでは、6Gを実現するための主な課題を紹介します。
技術面の高度化
6Gの実現には、高い周波数帯(ミリ波やテラヘルツ波など、波長が短い電波が使われる周波数の範囲)を利用する技術や、アンテナの制御技術など、無線機器の高度化が必要です。
また、ネットワークを構成する機器は機能が増えて複雑になるため、人の手だけでの運用が難しくなり、AIによる通信の制御や、運用・保守の自動化・最適化も課題になります。
インフラ整備のコスト負担
6Gで利用が見込まれる高い周波数帯の電波には、遠くまで届きにくく、遮蔽物(建物や壁などの障害物)にも弱い性質があります。
そのため、基地局などの設備を数多く整備する必要があり、コスト負担も課題です。導入にあたっては、コスト低減や投資回収の見通しを立てることが求められます。
セキュリティ・信頼性の確保
6Gでは、超多数同時接続やリアルタイム性の高い通信が実現されることで、接続される機器やデータのやり取りが増え、サイバー攻撃のリスクが高まると予想されています。
そのため、高度なセキュリティ対策を講じて、安全で信頼性の高い通信環境を整備していくことが重要です。
6Gについてよくある質問
6Gについてよくある質問をまとめています。
6Gと5Gの違いは?
6Gでは、5Gの特長である超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続がさらに高度化されることが期待されています。
具体的な目標は、アクセス通信速度(製品側の通信速度)は5Gの約10倍、通信の遅延は約1/10、同時に接続できる機器の数は約10倍などです。
また、6Gでは、超低消費電力化やセキュリティ・信頼性の向上、自律性の実現、海・空・宇宙への通信エリアの拡張なども重視されています。
6Gに対応したスマホはある?
現時点では、一般向けに6G通信を利用できるスマホは登場していません。現在販売されているスマホが対応しているのは、5Gや4Gまでの通信規格です。
6Gを利用できるようになるには、6Gに対応した製品の登場に加えて、通信エリアや通信サービスの整備が必要になります。
6Gでどれくらい通信が速くなる?
6Gのアクセス通信速度(製品側の通信速度)は5Gの約10倍、コア通信速度(通信網の中核部分での通信速度)は現在の約100倍になることが目標とされています。
ただし、実際の通信速度は、利用する場所や製品、通信環境などによって異なるでしょう。
6Gの今後の実用化に注目しよう
6G(Beyond 5G)では、5Gの特長の進化に加えて、超低消費電力化や信頼性、自律性、拡張性などの実現が期待されています。
幅広い用途への応用や、通信エリアの拡張なども見込まれていて、生活や社会を大きく変える可能性を持つ通信規格です。6Gの基本知識を押さえて、今後の実用化に向けた動きに注目してみましょう。
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