ブロードバンドルーターとは？役割・選び方やWi-Fiルーターとの違いも紹介

自宅やオフィスで光回線などのインターネットを利用する際は、多くの場合、ブロードバンドルーターを設置します。
今回は、ブロードバンドルーターの役割や選び方、ほかの通信機器との違いなどを紹介します。

ブロードバンドルーターとは

ブロードバンドルーターとは、光回線などのブロードバンド回線に対応したルーターです。ブロードバンド回線は、通信帯域が広く、高速で大容量のデータ通信ができるインターネット回線のことを指します。

「ブロードバンド」という言葉が付くことで、かつて利用されていたダイヤルアップ回線やISDN（音声とデータを同時に扱えるデジタル電話回線）に対応したルーターとの区別が明確になります。

ADSL（電話回線を利用したインターネット）や光回線といった高速な接続回線の普及に伴い、現在ではほとんどのルーターがブロードバンドルーターです。

ブロードバンドルーターの役割

一般的な家庭用ブロードバンドルーターには、以下のような役割があります。

・WANとLANをつなぐ

・LAN内の機器にIPアドレスを割り当てる

・ネットワークの最適な経路を提示する

・不正アクセスを防ぐ（ファイアウォールによるセキュリティ機能）

・Wi-Fi®通信を提供する

WANとLANをつなぐ

ブロードバンドルーターには、WAN（インターネットなどの広域ネットワーク）とLAN（家庭内やオフィス内の機器同士をつなぐネットワーク）をつなぐ役割があります。

つまり、スマホやパソコンなどLAN内の機器が外部ネットワークと通信する際、ブロードバンドルーターがその中継点として機能します。

LAN内の機器にIPアドレスを割り当てる

ブロードバンドルーターは、LAN内の各機器にIPアドレスを自動的に割り当てる機能（DHCP機能）を備えています。

IPアドレスは、ネットワーク上で機器を識別するための住所のようなもので、データの送受信を正確に行うために必要です。

ネットワークの最適な経路を提示する

ブロードバンドルーターは、送受信されるデータに対して最適な経路を判断し、データを転送するルーティング処理を行います。

この処理によりネットワーク内での通信効率が高まり、安定したデータのやり取りが可能になります。

不正アクセスを防ぐ（ファイアウォールによるセキュリティ機能）

多くのブロードバンドルーターには、ファイアウォール機能が搭載されており、インターネット側からの通信を監視して、不審または許可されていないアクセスを自動でブロックします。

ファイアウォール機能により、家庭内やオフィス内のパソコン・スマホが外部から不正にアクセスされるリスクを軽減できます。

Wi-Fi®通信を提供する

最近のブロードバンドルーターの多くは、無線LAN機能（Wi-Fi機能）を備えています。Wi-Fi機能により、パソコンやスマホなどを無線でインターネットに接続できます。

ブロードバンドルーターの選び方

ブロードバンドルーターの選び方について見ていきましょう。Wi-Fi規格の種類や最大通信速度、接続可能な台数、搭載機能などがチェックポイントです。

Wi-Fi規格の種類

一般的に、対応しているWi-Fi規格が新しいほど、高速な通信が可能です。主なWi-Fi規格は、次のとおりです。

現在広く販売されているブロードバンドルーターとしては、Wi-Fi 5以降に対応するものが標準的で、通信速度を重視するならWi-Fi 6以降に対応する製品がおすすめです。

最大通信速度

製品パッケージや公式Webサイトに記載の最大通信速度も確認しましょう。最大通信速度は通常、「2.4GHz帯＋5GHz帯」といった周波数帯ごとの理論上の速度が合算形式で記載されています。

現在主流のWi-Fi規格では、5GHz帯と2.4GHz帯の2つの周波数が使われており、自動または手動で切り替えて利用することが可能です。

より高速な通信を求める場合は、5GHz帯で最大2,402Mbps以上の通信速度に対応した製品がおすすめです。

Wi-Fi 6以降に対応した多くのパソコンが2,402Mbps以上に対応しており、スマホも一部の機種で対応しています。

接続できる台数

ブロードバンドルーターは製品ごとに、パソコンやスマホなどの機器と接続できる上限台数が決まっています。

複数人が同時にWi-Fiを利用する場面や、個人で複数機器を同時に接続する場面を想定し、十分な接続台数に対応するルーターを選ぶことが重要です。

スマートスピーカーなどのIoT家電を常時接続させる場合は、その台数も考慮しておきましょう。

搭載されている機能

ブロードバンドルーターに搭載されている機能も確認しておきましょう。

MU-MIMOは複数の機器と同時に通信できるため、接続の待ち時間が減り、速度低下を防ぐ機能のひとつです。

さらに、バンドステアリングが接続状況に応じて5 GHz帯と2.4 GHz帯を自動で切り替え、常に最適な周波数を選択する機能です。

そしてビームフォーミングは接続先の機器へ電波を集中的に送信し、通信速度と安定性を高めます。

各製品に搭載されている機能は、メーカーの公式Webサイト、製品の販売ページ、製品パッケージなどから確認できます。

ほかの通信機器・関連用語との違い

ブロードバンドルーターとほかの通信機器、ONU、モデム、Wi-Fiルーター、ハブの違いを解説します。

ONU

ONU（Optical Network Unit）は、光回線で利用される回線終端装置で、光ファイバーを通じて送られる光信号とパソコンやスマホなどの機器側で使われるデジタル信号を相互に変換する役割があります。

ONUが信号を変換する役割を担うのに対し、ブロードバンドルーターはONUからの信号を受け取り、家庭内やオフィス内の複数の機器にインターネット接続を分配し、管理する役割があります。

ONUとブロードバンドルーターという役割の異なる2つの機器を接続することで、家庭内やオフィス内でインターネットが利用できるようになります。

モデム

モデムは、主にADSLや一部のケーブルテレビインターネットなどで利用される回線終端装置です。アナログ信号とデジタル信号を相互に変換する役割を担っています。

現在、主要事業者のADSLは新規受付を終了しています。たとえば、NTT東日本とNTT西日本は2023年7月末に新規受付を終了しています。また、NTT東日本では2025年1月末にサービスの提供を終了しており、NTT西日本では2026年1月末をもって終了予定です。

なお、信号を変換するモデムと、複数の機器との通信を中継・管理するブロードバンドルーターは役割が異なります。これらを接続することで、家庭内やオフィス内でインターネットが利用できるようになります。

Wi-Fiルーター

Wi-Fiルーターは、無線LAN機能を搭載したルーターのことです。

一方、ブロードバンドルーターは、光回線などのブロードバンド回線に対応したルーターです。有線・無線を問わず、利用するインターネット回線の種類に合わせて選べる点が特徴です。

「Wi-Fiルーター」と「ブロードバンドルーター」は、そもそも着目しているポイントが異なるため、対立する用語ではありません。

Wi-Fiルーターは無線LAN機能の有無を基準にした呼び方で、一方のブロードバンドルーターは光回線・ケーブルテレビインターネット・VDSL（集合住宅などで使われる電話回線を利用したインターネット回線）など、高速インターネット回線へ対応しているかを示す呼称です。

つまり、無線機能を備えたブロードバンドルーターもあれば、有線専用のブロードバンドルーターもあります。

ハブ

ハブは、複数のネットワーク機器を有線で接続するための中継装置で、同一ネットワーク内の通信を可能にします。

ハブを使うことで、パソコンやネットワーク対応プリンターなど複数の機器をLANケーブルで相互に接続し、同じネットワーク内で通信できるようになります。

ハブが同じネットワーク内の機器同士を接続するために使われるのに対し、ブロードバンドルーターはインターネットとの接続や通信の管理を担うなど、異なる役割を持っています。

ブロードバンドルーターの機能・役割を知って通信環境の構築に役立てよう

ブロードバンドルーターは、光回線などのブロードバンド回線に対応したルーターです。

ブロードバンドルーターを選ぶ際は、対応するWi-Fi規格や最大通信速度、接続できる台数、搭載されている機能などを確認することが重要です。

また、スマホで快適に通信を利用するためには、ブロードバンドルーターを含めた自宅の通信環境を整えるとともに、外出時に備えてスマホの料金プランも見直すことをおすすめです。

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