生成AI(ジェネレーティブAI)とは?従来のAIとの違いや種類・活用方法をわかりやすく紹介

生成AI(ジェネレーティブAI)とは?従来のAIとの違いや種類・活用方法をわかりやすく紹介
このエントリーをはてなブックマークに追加
2025.06.27

生成AIは、ChatGPTをはじめとする各種AIツールのほか、Google HomeやSiriなどのAIアシスタントにも活用されています。テキスト・画像・動画・音声の生成など、さまざまな用途で活用が進められている技術です。

今回は、生成AIの種類や従来のAIとの違い、活用方法などを解説します。

目次

生成AI(ジェネレーティブAI)とは

生成AI(ジェネレーティブAI)は、ユーザーが入力した指示によって、テキストや画像などのコンテンツを生成できる人工知能技術の一種です。OpenAI社の「ChatGPT」やMicrosoft社の「Microsoft Copilot」、Google社の「Gemini」など、注目を集めている生成AIが多くあります。

生成AIが注目される背景

AIの歴史を振り返ると、1950年代後半~1960年代に起きた第1次人工知能ブームでは、単純な推論や探索が可能になりました。1980年代~1990年代に起きた第2次人工知能ブームでは、専門知識をもとにしたエキスパートシステムが発展し、医療や製造などの特定分野で発展が進みました。

さらに2000年代~2022年代には、データ流通量の飛躍的な増加、コンピュータの演算処理能力の向上などが要因で機械学習が進化して第3次人工知能ブームとなり、2022年代以降は、生成AIの発展により第4次人工知能ブームに入ったとされています。

しかし、従来のAIは決まったルールの範囲内で過去の学習データからアウトプットすることが主な機能です。柔軟に学習し、複雑な問題や未知の状況へ対応する能力には限界がありました。

そうした中で、以下のような要因が組み合わさって生成AIが発展・普及しました。生成AIでは、複雑な問題や未知の状況への対応能力が高まっています。

・ディープラーニング(深層学習)やトランスフォーマーモデルの開発・大規模化
・基盤モデルや大規模言語モデル(LLM)の登場
・GPUの進化やクラウドコンピューティングの発展など

特に、2022年11月にOpenAI社が、回答の精度が高く、自然な文章生成が可能な「ChatGPT」を公開したことで、一般ユーザーからビジネス分野まで一気に生成AIへの関心が高まりました。

生成AIの登場により、AIは単なる予測や分析ができる技術を超えて、創造的な作業にも対応できるようになったのです。ビジネスでのアイデアの創出や業務効率化、エンタメでのコンテンツの制作まで幅広い分野で活用が進んでいます。

生成AIと従来のAIの違い

生成AIは、新たなコンテンツを創出できる点で従来のAIと大きく異なります。

従来のAIは、以下のような用途で用いられ、学習データの範囲での予測・分析を行うものです。

・過去の気象データをもとに天気を予測する
・画像トレーニングで工場での不良品を検出する
・過去のメールデータをもとに迷惑メールを分類する

技術としては、膨大なデータからパターンを学習する「機械学習」や、人間の脳の仕組みを模したニューラルネットワークと呼ばれるモデルを使って、画像や音声などの特徴を抽出する「ディープラーニング」などが活用されています。

一方、生成AIでは、機械学習・ディープラーニングを基盤としながら、大規模言語モデル(LLM)や敵対的生成ネットワーク(GAN)といった技術が活用され、文章・動画・音楽の生成、アイデアの創出などの創造的な作業が可能となっています。

学習データを組み合わせて、学習データの範囲を超える新たなコンテンツを生み出せる点が、従来のAIとの大きな違いです。

生成AIにできること・できないことは?

生成AIでできることは数多く、仕事や日常生活にも活用できます。しかし、生成AIは万能な技術ではありません。生成AIにはできないことや苦手なこともあるため、適切に活用することが大切です。

生成AIにできることと、できないことを具体的に見ていきましょう。

生成AIにできること

生成AIが生み出せるデジタルコンテンツは、多岐にわたります。

生成AIにできること
・自然言語処理技術を用いたテキストの生成
・フォトリアルな画像やイラスト、3Dモデルの生成
・データの分析や計算、グラフ生成
・音楽や歌、声の生成
・動画生成
・画像認識
・音声の認識と文字化
・定型業務の効率化、自動化

生成AIは、ビジネスからエンターテインメントまで幅広く活用できるのが特徴です。カスタマーサポートの自動応答や、広告制作におけるデザインの制作、音楽・映像の制作、小説や記事の執筆支援など、数多くの分野で活用されています。

たとえば、ゲームやアニメーションの制作に生成AIが用いられ、制作コストの削減や制作期間の短縮が期待されています。

また、オフィス業務にAIを取り入れて、これまで時間がかかっていたルーティンワークを自動化することで、効率化が進められている事例が増えました。

生成AIにできないこと・苦手なこと

コンテンツの生成やデータ分析などにより制作コストの削減や業務の効率化が期待できる一方で、生成AIには対応できないことや苦手なこともあります。

生成AIにできないこと・苦手なこと
・主観的な体験をもとにした生成
・感情の理解や表現
・倫理的・常識的な判断

たとえば、温泉旅行に行った思い出から日記や動画を作成するなど、主観的な体験をもとにした創造や表現は、生成AIだけではできないことです。

感情の理解や表現はパターンとして学習できる部分もありますが、本質的に人間のように「感じる」ことはできません。

また、生成AIは倫理や常識より合理性を優先する場合があり、倫理・常識・感情などの曖昧なニュアンスを含む判断は苦手とされています。

生成AIの種類や特徴

生成AIは数多くのツールが発表されていますが、代表的な分野としては以下が挙げられます。各分野の特徴やそれぞれの代表的な生成AIツールを以下で紹介します。

生成AIの代表的な分野
・テキスト生成AI
・画像生成AI
・動画生成AI
・音声生成AI

テキスト生成AI

テキスト生成AIは、ユーザーがテキストボックスに入力した質問や指示をもとに、回答を文章で生成するAIです。人間が考えているような自然な文章を生成でき、人間とチャットで対話をしているような感覚でやり取りができます。

日常的な質問に回答を返してくれるのはもちろん、メールの下書き、レポートの作成、アイデアやコピーの提案など、ビジネスシーンでも幅広い用途で活用が可能です。

代表的なテキスト生成AI
・ChatGPT
・Claude
・Gemini
・Microsoft Copilot

画像生成AI

画像生成AIは、テキストでの指示によってオリジナル画像(イラストや写真など)を生成できるAIです。従来は専門的なスキルが必要だった画像作成を、数十秒程度の短時間で実行でき、コンテンツの制作時間の短縮やコスト削減に貢献しています。

主に、広告素材の制作、アニメやゲームのキャラクター作成など、デザイン分野を中心に活用が進められています。

代表的な画像生成AI
・DALL·E
・Stable Diffusion
・Midjourney
・Adobe Firefly
・Skybox AI

動画生成AI

動画生成AIは、テキストでの指示や画像などに基づき、動画を生成できるAIです。

動画生成AIは、一貫性の維持や物理法則の再現など課題が多く、高度な処理が必要であり、生成AIの中でも技術的ハードルが高い分野とされています。

2024年2月にはOpenAI社が最長1分の動画生成が可能な「Sora」を発表し、注目を集めました。さらに2025年3月末には Runway から「Runway Gen-4」、 2025年4月にはGoogleから「Veo 2」がリリースされるなど、競争は激化しています。

代表的な動画生成AI
・Sora
・Runway Gen-3 Alpha
・Veo
・Canva(動画生成機能)

音声生成AI

音声生成AIとは、音声データを学習して新たな音声を生成できるAIです。たとえば人間の声を学習することで、自然な文章の読み上げや喜怒哀楽の感情を含めた声の表現などが可能になります。

たとえば、カスタマーサポートの自動応答や翻訳内容のリアルタイム音声化などに音声生成AIが活用でき、ビジネスシーンにおける業務効率化のツールとして導入される事例が増えています。

代表的な音声生成AI
・VALL-E
・Voice Space
・VOICEVOX

生成AIのモデル

生成AIは、どのようなプロセスでアウトプットを生み出すかを決める仕組み・枠組みで構成されており、それらを生成モデルと呼びます。

生成AIを構成する主なモデルを4つ紹介します。

生成AIを構成する主なモデル
・敵対性生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)
・拡散モデル(Diffusion Model)
・GPT(Generative Pre-trained Transformer)
・VAE(Variational Autoencoder)

敵対性生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)

敵対性生成ネットワークは、新しいデータを作る「ジェネレーター」と、データが本物か偽物かを判断する「ディスクリミネーター」と呼ばれる2つの機能で成り立っています。

ジェネレーターが本物そっくりのデータを生成しようとする一方、ディスクリミネーターは、ジェネレーターが生成するデータが偽物か識別しようとします。この2つの機能が互いに競いあうことで、より本物に近いデータを生成するように進化します。

敵対性生成ネットワークを用いた生成AIは、映画の特殊効果などで活用されています。

拡散モデル(Diffusion Model)

このモデルの生成AIは、元のデータに段階的にノイズを加えてランダムな状態にし、逆のプロセスを通じてノイズを徐々に取り除きながら元のデータに近いものを生成します。

画像や音声、文章などさまざまな分野で活用されていますが、特にイラストの生成で活用されており、Stable Diffusionが有名です。

GPT(Generative Pre-trained Transformer)

GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)の一種で、自然言語処理を得意とするAIモデルです。

大量のテキストデータを事前学習することで、人間のようなテキストを生成する能力を持っています。

質問に答えたり、物語を書いたり、与えられたデータをもとにレポートを出力したり、プロンプト(指示文)に従ってさまざまな文章を生成します。

VAE(Variational Autoencoder)

VAE(Variational Autoencoder)は、「変分オートエンコーダー」と呼ばれるディープラーニングを活用した生成モデルの一種です。

オートエンコーダーとは、データの特徴を圧縮し(エンコーダー)、その圧縮された情報から元のデータを再構成・生成する(デコーダー)構造のことです。

特徴を自動的に学習し、確率分布を導入した潜在空間を構築することがVAEの大きな特徴で、潜在空間から新たなデータを生成できるほか、潜在空間を移動して滑らかで連続的に変化するデータの生成が可能となっています。

工場での異常検知、デザイン分野での画像生成など、さまざまなシーンで応用されています。

生成AIを活用するメリット

生成AIの活用は、作業の効率化や人手不足の解消など、ビジネスや日常の中でさまざまなメリットをもたらします。生成AIの主なメリットは、以下のとおりです。

生成AIの主なメリット
・作業を効率化できる
・人手不足の解消・人件費の削減ができる
・新たなアイデアを創出できる
・顧客満足度の向上につながる

作業を効率化できる

文章や画像、動画などのコンテンツを生成AIで自動生成することで、これまで多くの時間を要していた作業を大幅にスピードアップできます。

また、ビジネスシーンでは定型的なメールやレポートの作成、書類整理などの単純作業を自動化することで生産性が向上し、より付加価値の高い業務に集中することが可能です。

人手不足の解消・人件費の削減ができる

これまで人間が対応していた業務をAIに置き換えることで、慢性的な人手不足の解消や人件費の削減が可能です。

たとえば、生成AIによるチャットボットをカスタマーサポートに導入すれば、24時間体制で対応でき、オペレーターのシフトを削減して負担を軽減できます。また、各種のコンテンツ制作に生成AIを導入すれば、人件費や外注費の削減にもつながります。

新たなアイデアを創出できる

新商品の開発、企画のアイデア出しなどでも生成AIの活用が可能です。

新商品や企画の提案など、人間が考えると時間がかかるアイデア出しも、生成AIであれば短時間で多くの回答が得られます。

また、人間には思いつかなかった斬新なアイデアを得られることがあり、独創的な企画や商品を生み出せる可能性もあります。

顧客満足度の向上につながる

生成AIを活用して顧客のデータを分析することで、各顧客の嗜好にあわせたサービス提供が可能になり、顧客満足度の向上が期待できます。

また、生成AIを活用したチャットボットによるカスタマーサポートを提供すれば、電話がつながるのを待つことなく、24時間いつでも顧客の疑問に回答することができます。

生成AIを活用するデメリット・注意点

生成AIは、作業の効率化や新たなアイデアの創出など、ビジネスや日常の中で多くのメリットをもたらしてくれます。一方で、生成AIには情報漏洩のリスクや事実と異なる情報を生成するリスクがあるほか、著作権の侵害などにも注意が必要です。

生成AIを利用するときのデメリットや注意点を以下で紹介します。

生成AIのデメリット・注意点
・情報漏洩のリスクがある
・事実と異なる情報を生成することがある
・一定の品質を保つことが難しい場合がある
・権利を侵害する恐れがある

情報漏洩のリスクがある

生成AIはユーザーが入力した情報を学習するため、大切な情報を入力すると情報漏洩につながる可能性があります。

たとえば、顧客情報や財務情報など企業の機密情報、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの個人情報を生成AIに渡すと、ほかの人が生成AIで作成した文章や画像に出力されることがあり、大変危険です。

生成AIを利用するときは、プロンプトに機密情報や個人情報を入れないようにしましょう。なお、生成AIのサービスによっては、ユーザーが入力した情報を学習しないように設定できるため、サービス内容を確認して設定しましょう。

事実と異なる情報を生成することがある

生成AIは、入力した正確なデータでも、事実と異なる情報を生成することがあります。これをAIが見る幻覚(ハルシネーション)と呼びます。

生成AIのプラットフォームでも「ChatGPT can make mistakes. Consider checking important information.(ChatGPTはミスを犯す可能性があります。重要な情報を確認することを検討してください。)」のように注意を促しています。

ハルシネーションが起きていないか、出力内容の事実確認のチェックは必須といえるでしょう。

一定の品質を保つことが難しい場合がある

生成AIが生成する回答やコンテンツは一定でなく、指示に対する結果がランダムになり、一定の品質や再現性の担保が難しい場合があります。

たとえば、カスタマーサポートに生成AIを活用する場合、回答が一定ではなく、事実と異なる情報で回答するリスクも少なからず存在します。十分な学習データを与え、精度が低い間は確認時の対策も検討する必要があります。

権利を侵害する恐れがある

生成AIに入力するデータや生成されたコンテンツが、著作権や商標権などの知的財産権を侵害していないか注意してください。

イラストが無断で学習データに使われ、トラブルに発展した事例もあります。生成した画像を使用する前に、既存のクリエイターの作品や作風に酷似していないか十分確認しましょう。

また、上記以外にも法令規制の動向には注意を払う必要があります。2025年4月時点で、国内で生成AIの法的な定義はありませんが、法的規制やガイドラインは常に変化しているため、海外の動向も含めて変化を追うことが大切です。

生成AIの具体的な活用方法は?

仕事などで個人が生成AIを活用する主な方法としては、以下が挙げられます。

・プレゼン資料の作成
・メールのテンプレート作成
・広告コピーやSNS投稿の文章案の生成
・文書の要約
・会議の文字起こし・議事録作成

プレゼン資料、メールテンプレート、広告コピーやSNS投稿など、コンテンツや資料作成における多くの場面で生成AIが活用できます。また、文書の要約はテキスト生成AIの得意とするところです。要約を確認してから全文に目を通すことで理解が早まるでしょう。

そのほか、会議の文字起こしや議事録作成にも生成AIを活用できます。高精度な文字起こしや要約・整理ができるAI議事録作成ツールが数多く登場しており、議事録作成にかける時間と手間を大きく削減できます。

ただし、仕事などで生成AIを使用する際は、誤った情報を含む可能性があること、最終的には人の手でチェックが必要になることなどに注意が必要です。また、リスクに対しては事前に必要な対策を取ることを心がけましょう。

生成AIを使って仕事の効率化やアイデアのブラッシュアップに活用しよう!

生成AIは文章や画像などさまざまなコンテンツの生成が可能で、生産性の向上や人手不足の解消にもつながる存在です。

作業の効率化だけでなく、アイデアの創出にも便利なので、業務に活用することでビジネスの幅が大きく広がるかもしれません。

また、スマホアプリでも利用できる生成AIが多いので、移動中などの隙間時間で生成AIを活用すれば、より仕事の効率が上がります。

とはいえ、スマホで各種AIツールを多用するときはデータ利用量に注意が必要です。データ利用量が気になる方は、携帯電話会社の乗り換えも検討してみてはいかがでしょうか。

楽天モバイルの料金プランでは、データ利用量に合わせて料金が自動的に変わるため、たくさん使う人にもあまり使わない人にもおすすめの料金プランです。

家族割引適用※1で、3GBまでは880円/月(税込968円)、20GB超過後はどれだけ使っても2,880円/月(税込3,168円)とデータ使い放題※2なので、データ容量を心配せず快適な通信をご体験いただけます。
※通話料等別
※1 割引・プログラム適用条件あり。詳細はこちらをご確認ください。
※2 混雑時など公平なサービス提供の為に速度制御する場合あり

ぜひ楽天モバイルをご検討ください。

楽天モバイルは使わなければ勝手に安くなる

知らなきゃ損!91.4%の人がおトクになったと回答※1 Rakuten 最強プラン

※1 楽天モバイル「楽天モバイル通信簿2025Ver/データ収集期間2024年12月16日~12月23日」
※ 掲載内容はプラン名・サービス内容の変更によって、一部内容を修正する可能性がございます。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY : 基礎知識
TAG : #AI