今話題の生成AI(ジェネレーティブAI)とは?AIの種類や特徴、使い方や仕組みを解説

今話題の生成AI(ジェネレーティブAI)とは?AIの種類や特徴、使い方や仕組みを解説
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2024.08.02

近年、AIの発展はめざましく、さまざまなサービスでAIが利用され、身近な存在になりつつあります。

その中でも生成AIは、人間のように自然言語での文章生成や、リアルな画像の生成が可能であり、私たちの生活やビジネスに大きな影響を与えています。しかし、その仕組みや特徴、活用方法について、「生成AIが話題だけど、詳しくはよく知らない」という人も少なくありません。

また、「生成AIは本当に信頼できるのだろうか?」「生成AIが普及することで、人間の仕事が奪われてしまうのではないか?」といった疑問や不安を抱いている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、生成AIの種類や特徴、動作原理、そして実際の活用事例について詳しく解説します。

目次

生成AI(ジェネレーティブAI)とは

生成AI(ジェネレーティブAI)は、プロンプトのような指示によって、文章や画像などのコンテンツを生成できる人工知能技術の一種です。Open AI社の「ChatGPT」や、Microsoft社の「Microsoft Copilot」、Google社の「Gemini」などの生成AIが、注目を集めています。

これまでのAIは、大量のデータをもとに機械の故障予測や、金融取引における不正検知などに使われていました。現在でも検索エンジン、スマホの音声入力機能、掃除ロボット、スマートスピーカーなど身近なところでAIが活用されているものがあり、生活に役立っています。

AIの歴史を振り返ると、第一次人工知能ブームでは、単純な推論や探索が可能になりました。第二次人工知能ブームでは、特定分野での発展が進みました。

しかし、従来のAIは、さまざまな要因が絡み合っているような問題を解くことはむずかしく、特定領域の情報のみの学習しかできないなどの課題があり、AIブームと冬の時代を繰り返していました。

近年登場した生成AIは、学習したデータから高い精度で新たなコンテンツを生成できるようになりました。出力するときの命令は「プロンプト」と呼ばれ、内容に従って、自然な文章や画像を生成できます。

生成AIの登場により、AIは単なる予測や分析ができる技術を超えて、創造的な作業にも対応できるようになったのです。

生成AIにできること、できないことは?

生成AIでできることは数多く、仕事や日常生活にも活用できます。しかし、生成AIは万能な技術ではありません。生成AIには、得意なことと不得意なことが存在しているため、適切に活用することが大切です。

そこで生成AIでできることと、できないことを具体的に見ていきましょう。

生成AIにできること

生成AIが生み出せるデジタルコンテンツは、多岐にわたります。

・AIが生成できること
1) 自然言語処理技術を用いたテキストの生成
2) フォトリアルな画像やイラスト、3Dモデルの生成
3) データの分析や計算、グラフ生成
4) 音楽や歌、声の生成
5) 動画生成
6) 画像認識
7) 音声の認識と文字化
8) 定型業務の効率化、自動化

生成AIは、ビジネスからエンターテインメントまで幅広く活用できるのが特長です。カスタマーサポートや問い合わせ窓口の自動応答や、広告制作におけるデザイン、音楽、映像制作、小説や記事の執筆支援など、数多くの分野で活用されています。

また、ゲームやアニメーションの制作にも生成AIが用いられ、制作コストの削減や制作期間の短縮が期待されています。

オフィス業務にもAIが取り入れられ、これまで時間がかかっていたルーティンワークを自動化することで、仕事の効率化が進められている事例が増えました。

生成AIにできないこと

生成AIには、2024年5月時点では以下のことができません。

1) 既知ではない解決策の提案や、完全に新しいアイディアを創出すること
2) 複雑な文脈を完全に理解すること
3) 倫理的判断や、状況を加味して判断基準を変更すること
4) 経験や体験に基づいたオリジナリティがあるコンテンツを創作すること
5) 生成AIのデータベースに対してリアルタイムで反映すること

生成AIは新しい考えやアイディア、オリジナリティを持ったコンテンツを作ることには適していません。たとえば、温泉に旅行に行ったときの思い出から日記や動画を作成する作業は、人間ならではの体験や独創的なアイディアが必要です。

また、生成AIの普及に伴い、著作権やセキュリティに関する懸念も浮上しています。生成AIが作成したコンテンツの帰属先や、悪用された場合の責任問題など、まだ解決すべき課題は多くあり、国際ルールの策定が進んでいます。

これらの課題に真摯に向き合い、生成AIを適切に活用していくことが求められています。

生成AIが文章や画像などを生成する仕組み

生成AIが新しい文章や画像を作り出す過程は、人間が経験や体験から学んで新しいアイディアを生み出すことに似ています。

生成AIは膨大な量の文章や画像、音楽などのデータを分析し、共通するパターンやルールを見つけ出します。これが、生成AIの「学習」と呼ばれる部分です。

学習によって見つけ出したパターンやルールは、生成AIの内部で複雑に組み合わされ、新しい文章や画像を生み出すための「設計図」のようなものになります。この設計図を作る技術を「ディープラーニング」や「ニューラルネットワーク」と呼びます。

実際に文章や画像を生成するには、ユーザーに与えられたプロンプトの内容をもとにAIが学習データからコンテンツを生成します。

生成AIが生み出すコンテンツの品質は、学習に使ったデータの質と量によって大きく左右されます。より自然で多様なコンテンツを生成するためには、大量の高品質なデータを使った学習が必要不可欠です。

生成AIの種類や特徴

生成AIと呼ばれるAIは、非常に多くの種類が発表されています。代表的な分野と生成AIを見てみましょう。

・文章生成AI
ChatGPT
Claude 3
Gemini
Microsoft Copilot

・画像生成AI
Stable Diffusion
Midjourney
Adobe Firefly
DALL·E 3
SkyBox AI

・音声生成AI
Text-to-Speech AI
VOICEVOX
CoeFont

・文字起こしAI
Notta
CLOVA Note

・音楽生成AI
SOUNDRAW
Suno

・動画生成AI
Sora
Runway Gen-2

・3D生成AI
Poly
Wonder Studio

※2024年6月現在。

多くのAIが個人で利用できますが、企業向けに公開されているAIも一部あります。

生成AIは文字チャットを介してさまざまな受け答えや文章生成ができることで大きな話題になった「ChatGPT」や「Gemini」のようなAIに注目が集まりがちですが、多種多様な分野で活用されています。

Google HomeやAlexa、Siriのように自然言語処理AIを通じて音声を認識して応答するサービスにも使われており、身近な存在となっています。

生成AIに共通する特徴として、「プロンプト」を分析した内容に従ってAIがコンテンツを生成している点です。プロンプトの内容や指示によって、異なる結果が生み出され、多様なコンテンツの生成につながります。

生成AIのモデル

生成AIを構成する主なモデルを3つ紹介します。

・敵対性生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)
敵対性生成ネットワークは、新しいデータを作るジェネレーターと、データの真贋を判断するディスクリミネーターと呼ばれる2つの機能で成り立っています。

ジェネレーターが本物そっくりのデータを生成しようとする一方、ディスクリミネーターは、ジェネレーターが生成するデータが偽物か識別しようとします。この2つの機能が互いに競い合うことで、より本物に近いデータを生成するように進化します。

敵対性生成ネットワークを用いたAIは、映画の特殊効果などで活用されています。

・拡散モデル(Diffusion Model)
このモデルのAIは、元のデータに段階的にノイズを加えて完全にランダムな状態にし、逆のプロセスを通じてノイズを徐々に取り除きながら元のデータに近いものを生成する方法です。

画像や音声、文章などさまざまな分野で活用されていますが、特にイラストの生成で活用されており、Stable Diffusionが有名です。

・GPT(Generative Pre-trained Transformer)
ChatGPTに代表される、自然言語処理を得意とするAIモデルです。GPTモデルは、大量のテキストデータを事前学習することで、人間のようなテキストを生成する能力を持っています。

質問に答えたり、物語を書いたり、与えられたデータを元にレポートを出力したり、プロンプトに従ってさまざまな文章を生成します。

生成AIの5つのメリット

生成AIには、大きく以下の5つのメリットがあります。

1) 定型業務の自動化やクリエイティブな提案の補助による人件費等のコスト削減
2) AIの補助による文書作成や画像作成、情報収集等の作業時間の短縮
3) AIとの対話を通じたアイディアのブラッシュアップやブレストによる、新しいアイディアの創出
4) 顧客の質問に答えるチャットなどに組み込むことで、パーソナライズされたコンテンツを提供して顧客満足度が向上する
5) 生産性の向上による人手不足の解消

生成AIを利用することのメリットは、効率と生産性を向上できる点です。

たとえば、問い合わせに対する文章生成のほか、AIが顧客対応を行う窓口を設置することで、人間が判断して処理する時間を減らして効率化を図れます。

ビデオチャットツールとして有名な「Zoom」には「Zoom AI Companion」というAIアシスタントが搭載されており、ミーティングの内容を文字化して記録したり、顧客とのやり取りを分析してデータにしたり、ビジネスで役立つ機能が備わっています。

ほかにも商品説明やプレスリリースの生成、広告文やキャッチコピー、バナー画像の生成など、生産性を向上することも可能です。

そのため、生成AIが役立つ範囲は幅広く、仕事や日常生活など、さまざまな分野で活用できるでしょう。

生成AIの5つのデメリット

すでに多くの分野で活用されている生成AIですが、以下のような5つのデメリットに注意しましょう。

1) 生成AIは入力されたデータからも学習するので、情報漏洩のリスクがある
2) 導入や運用にコストがかかり、特に大規模なシステムで利用すると高額になる
3) 生成されたコンテンツが既存のデータと同一や類似する場合、著作権侵害になる可能性がある
4) 動画やアバターによるフェイクコンテンツを生成するリスクがある
5) AIに依存しすぎることによって、人間のスキルやナレッジが低下してしまう

特に入力したデータが学習に使われてしまい、ほかの利用者が生成したデータに反映されてしまうトラブルには注意が必要です。会社内の機密情報や個人情報の流出につながってしまうため、生成AIに学習されてはいけないデータを入力しないようにしましょう。

また、生成AIを提供するサービスからも、外部に出してはいけないデータを入力しないように注意を促したり、ほかの人に権利がある画像や写真の使用を禁じたりするメッセージが表示されることがあります。

データが学習に使われないようにするには、生成AIを提供するサービスによって設定が異なるため、設定やサービス内容を確認しましょう。

生成AIを利用するときの注意点

生成AIは今まで時間がかかっていたコンテンツ制作や事務処理の手間が省け、仕事を効率化してくれたり、さまざまな生成物で楽しんだりできます。

しかし、一方で生成AIに対する法整備が追いついておらず、生成したコンテンツが問題になるケースもあります。特に問題になる以下の5つの注意点を詳しく見ていきましょう。

・知的財産権の侵害
生成AIに入力するデータや、生成されたコンテンツが、著作権や商標権などの知的財産権を侵害していないか注意が必要です。

イラストは無断で学習データに使われているケースがあり、トラブルに発展した事例もあります。生成した画像を使用する前に、既存のクリエイターの作品や作風に類似していないか十分確認しましょう。

・情報漏洩のリスク
生成AIはユーザーが入力した情報を学習するため、大切な情報を入力すると情報漏洩につながる可能性があります。

たとえば顧客情報や財務情報などの企業の機密情報や、氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を生成AIに渡すと、ほかの人が生成AIで作成した文章や画像に出力されることがあり、大変危険です。

生成AIを利用するときは、プロンプトから機密情報や個人情報を削除して送信しましょう。また生成AIのサービスによっては、ユーザーが入力した情報を学習しないように設定できます。生成AIのサービス内容を確認して設定しましょう。

・ハルシネーション
生成AIは入力した正確なデータがあっても、勝手に事実と異なる情報を生成することがあります。これをAIが見る幻覚(ハルシネーション)と呼びます。

生成AIのプラットフォームでも「ChatGPT can make mistakes. Consider checking important information.(ChatGPTはミスを犯す可能性があります。重要な情報を確認することを検討してください。)」のように注意を促しています。

ハルシネーションが起きていないか、出力内容の事実確認のチェックは必須といえるでしょう。

・法的規制の遵守
生成AIの利用に関するさまざまな法的規制やガイドラインは、常に変化しています。2024年5月時点では日本国内で生成AIに対する法的な定義はありません。しかし、日本国内だけでなく、海外の動向も含めて、しっかりと把握し、社内規定を設けそれを守ることが大切です。

実はすでに身近なものに!生成AIの活用事例

生成AIはすでに身近な存在として、さまざまな場所で活用されています。たとえばGoogle HomeやSiriなどのAIアシスタントも、生成AIの技術を利用しています。

また、小学校や中学校の教育アプリなどでも生成AIによるチャットが導入されており、さまざまな教科で個別最適化された問題が出題され、生徒個人の能力にあわせた学習が可能になりました。

ほかにもテレビCMでも本物の人間と区別がつかない生成AIのモデルが登場したり、自治体のチャットに実装されたAIがアドバイザーとして、ゴミの分別に迷ったときに分別案内をしたりさまざまな用途に使われています。

このように生成AIはすでに日常の中に取り込まれており、今後ますます利用が広がっていくでしょう。

生成AIを使って仕事の効率化やアイディアのブラッシュアップに活用しよう!

生成AIは文章や画像などさまざまなコンテンツの生成が可能で、生産性の向上や人手不足の解消にもつながる存在です。

作業の効率化だけでなく、アイディアのブラッシュアップにも便利なので、業務に活用することでビジネスの幅が大きく広がるかもしれません。

また、スマホアプリでも利用できる生成AIが多いので、移動中などの隙間時間で生成AIを活用すれば、より仕事の効率が上がります。

とはいえ、画像生成AIや動画生成AIを多用するときはデータ利用量に注意が必要です。データ利用量が気になる方は、携帯電話会社の乗り換えも検討してみてはいかがでしょうか。

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